「みちびき」対応のGNSS受信機、1cmの精度を実現 : 農機での採用が始まる
マゼランシステムズジャパンは、「CEATEC JAPAN 2017」で、1cm以下の精度で位置検出が可能なGNSS受信機を展示した。準天頂衛星システム「みちびき」に対応している。
マゼランシステムズジャパン(以下、MSJ)は「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、幕張メッセ)で、準天頂衛星システム「みちびき」に対応した次世代高精度多周波マルチGNSS(全球測位衛星システム)受信機を展示した。
「みちびき」に対応した次世代高精度多周波マルチGNSS受信機(クリックで拡大)
MSJは、みちびきに対応したGNSS受信機の他に、地上のGNSS基地局から送信される補正情報を使って座標を割り出すGNSS受信機も提供しているが、いずれも位置情報検知で1cm以下の精度を実現しつつ、10万円前後という低価格に抑えている点が最大の特長だ。
建設や農業で使われるトラクターや自動搬送機、ドローンなど、位置検出に1cmレベルの精度を要求する機器は増えているが、こうした高い精度を実現できるGNSS受信機は、一般的に数百万円など非常に高価だ。MSJは、「例えば、500万円のトラクターに300万円のGNSS受信機を搭載するわけにはいかない。だが、当社で提供するような10万円の製品であれば、検討してもらえる余地がある」と説明する。
MSJのGNSS受信機は、数百万円クラスで使われる特殊な部品を使っていないことが、低価格に抑えられている大きな要因だ。「回路設計も工夫し、回路規模と部品点数を削減した。これが低コスト化に貢献している」と、MSJは説明する。
1cm以下の精度を実現したGNSS受信機の導入が期待される分野の1つが、農機だ。クボタは既にGPSを搭載した「直進キープ機能付き田植え機」を2016年に発表している。GPSを利用することで、直進時に自動運転ができる田植え機だ。「田植えなどは、苗を真っすぐに植えていく必要がある。その上、農機で苗をつぶさないように、農機が走行する場所と苗を植える場所は、非常に高精度に位置を検出、コントロールする必要がある」(MSJ)
写真下が、MSJのGNSS受信機を搭載した農機。位置を正確に検出して自動走行している様子(クリックで拡大)
センチ単位で位置検出、日本無線がGNSSチップ
日本無線は、センチメートル級の精度で位置検出が可能な全地球航法衛星システム(GNSS)チップ「JG11」の開発を始めた。自動運転システムなどの用途に向ける。
自動運転ではGNSSチップも機能安全対応が必須に
コネクテッドカー市場に注力するu-blox(ユーブロックス)は、次世代のV2X(Vehicle to everything)モジュールやGNSS(全地球航法衛星システム)モジュールの開発を進めている。u-bloxの共同創設者であるDaniel Ammann氏は、レベル4の自動運転車からGNSSが必須になり、それに伴ってGNSSレシーバーは機能安全対応が求められるようになると説明する。
2018年に誤差数センチの車用測位チップ実現へ
u-blox(ユーブロックス)は2016年9月30日、三菱電機と共同で、測位誤差数センチを実現する準天頂衛星システムによる「センチメータ級測位補強サービス」対応受信チップを開発すると発表した。2018年に自動車向け製品として実用化する。
「モジュールこそ成長の最大要因」、u-blox CEO
u-blox(ユーブロックス)は、1998年に表面実装型のGPSレシーバーモジュールを発表して以降、GNSS(全地球型測位システム)、セルラー、近距離無線通信の分野向けに通信モジュールを20年にわたり提供してきた。同社のCEOであるThomas Seiler氏は、「モジュールで提供すること」こそu-bloxが成長を続けてきた理由であり、今後もその戦略が変わることはないと明言する。
ソニー製チップの採用でFD-SOIへの関心高まる?
28nm FD-SOIプロセスを採用したソニーのGPSチップが、中国のスマートウォッチに搭載された。FD-SOIプロセスに対する関心が高まる可能性がある。
もう駐車場で迷わない? 音波を使った屋内位置検出
三菱電機は、無線LANと音波を活用した屋内の位置検出ができるシステムを開発した。位置検出までの時間は約100ミリ秒で、誤差は30cm。システム構成がシンプルで、安価で実現できるのが特長だ。GPSの電波が届かない駐車場や、倉庫の物流管理などで利便性の向上に貢献するという。
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