車載ディスプレイの世界市場は、2018年見込みの4808億円に対し、2022年は7184億円と予測した。富士経済が調査結果を発表した。
富士経済は2018年10月、車載ディスプレイの世界市場を調査し、その結果を発表した。予測によると、2018年見込みの4808億円に対し、2022年は7184億円の市場規模となる。
富士経済は、CID(センターインフォメーションディスプレイ)や各種メーター、HUD(ヘッドアップディスプレイ)、電子ミラーなどに用いられる「LCD」や「OLED」「曲面ディスプレイ」および、「異形ディスプレイ」を対象に、2022年までの車載ディスプレイ市場に関する予測を行った。同時に、これから注目される操作インタフェースや関連部材に関する動向も調査した。
調査結果によると、車載ディスプレイ市場の2018年見込みは、2017年実績に比べて12.4%の増加となる。全体の95%以上はLCDやOLEDが占める。2022年の市場規模については7184億円と予測した。この時点でLCDやOLEDの構成比は84%に低下する。その分、曲面ディスプレイや異形ディスプレイの需要が拡大する見通しである。
ディスプレイ製品別の市場規模は、LCDが2018年に4589億円を見込む。大手ディスプレイメーカーが自動車メーカーへの直販でシェアを維持する中、中国メーカーもコスト競争力を武器に小型ディスプレイ市場で、急速にシェアを拡大している。ADAS(先進運転支援システム)の普及により、CID向け大型ディスプレイ需要も増大する。この結果、2022年のLCD市場は5925億円と予想した。
曲面ディスプレイは、LCDやOLEDの基板を加工し湾曲させた製品が対象となる。ダッシュボードに実装されるCIDへの採用を中心に、高級車やEVなどにおける需要拡大を期待する。こうした状況から、曲面ディスプレイの市場規模は2018年見込みの92億円に対し、2022年は600億円と予測した。
異形ディスプレイは、四角形の一般的なディスプレイを波型や円、穴あけなど自由な形に加工した製品が対象となる。既に欧州自動車メーカー製の高級車向けメーターに採用されているという。2020年以降に発売予定の車両向けに、受注競争が本格化しつつある。こうしたことから、異形ディスプレイの市場規模は2018年見込みの85億円に対し、2022年は536億円と予測した。
この他、操作インタフェースでは、車載向けの「静電容量式タッチパネル」と「触覚デバイス」に注目、これらの調査結果を発表した。タッチパネルは、CIDの操作性改善に向けて、現行の抵抗膜式から静電容量式に移行するとみられる。このため、静電容量式タッチパネル市場は、2018年見込みの1299億円に対し、2022年は2090億円と予測した。
タッチパッドなどの触覚デバイスも、需要拡大が見込まれる。指先への振動などにより、目視以外で操作状況を把握することができるため、安全対策の一環として注目されている。2018年見込みは10億円を超えたレベルだが、2022年には25億円と予測した。
車載ディスプレイ部材についても、カバーパネルの市場規模を発表した。調査対象としたのはカバーガラス、カバーシートおよび、インサートフィルムである。需要の中心はカバーガラスで、光沢や触感に優れ、表面硬度が高いといった特長がある。カバーシートは安全性や加工性に優れる。インサートフィルムは、デザイン性に優れ、今後の市場拡大が見込まれている。
富士経済は、専門調査員が関連企業にヒアリングなどを行い調査した。調査期間は2018年6〜8月。詳細な調査結果は「2018 車載ディスプレイ/HMIと構成部材市場の将来展望」としてまとめた。
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