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環境発電で動作するコントローラー、ルネサスがSOTBを初適用5μAの電流で駆動可能(2/2 ページ)

» 2018年11月15日 10時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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「e-AI」と組み合わせることも

 ルネサスは、SOTB技術を核とした超低消費電力化に向けた取り組みを3段階に分けて進めていく。まずはR7F0Eの市場投入、次にBluetooth Low Energy(BLE)などRF機能を組み合わせる。第3段階は、ルネサスが進める「e-AI(embeddded AI)」との融合だ。e-AIは、ルネサスが数年前から提唱してきた、エンドポイントの組み込み機器にインテリジェンスを搭載するコンセプトである。

 SOTBデバイスでは、今回発表したR7F0Eを皮切りに、この3段階に沿って性能を向上させたデバイスの開発を進めていく。

左=SOTB技術を核とした超低消費電力化に向けた取り組みを3段階(Phase1〜Phase3)に分けて進めていく/右=SOTBを採用したコントローラーのロードマップ(クリックで拡大)

 Hannawald氏によれば、ルネサスはSOTB技術関連の売上高について、2021〜2022年には100億円規模を目指すという。「エナジーハーベストは、今後急速な成長が見込まれる市場である。SOTBはプロセス技術のブレークスルーだ。e-AI(embedded AI)とSOTBを組み合わせることで、市場を拡大できると確信している」(Hannawald氏)

 なお、SOTBについては後日、詳細を報告する。

ブースでは、さまざまなデモを展示

 ブースでは、R7F0Eについて数種類のデモを展示した。まずは、リコーが開発した発電ゴムを使ったもの。シート状にした発電ゴムにボールを当て、その振動で発生したエネルギーによってR7F0EがMIP(メモリインピクセル)のディスプレイを駆動する様子を披露した。

発電ゴムを使ったデモ。このようにボールをぶつけて発電し、その電力を使ってSOTBがディスプレイを駆動し、球の速さなどを表示している
発電ゴムを使ったデモ。ボールをぶつけた時の振動によって得られるエネルギーは、ボールをぶつけた強さにもよるが、8〜10μCくらいである(クリックで拡大)

 ウェアラブル機器向けには、東レが開発した、脈拍を計測できる特殊繊維で作られた布と、太陽光発電を組み合わせ、脈拍を常時測定できるシステムを展示した。太陽光発電で得たエネルギーを使用し、布でセンシングした脈拍をディスプレイに表示している。

左=東レが開発した特殊繊維および、太陽光発電と組み合わせて、ウェアラブル向けのシステムを提案した/右=デモの構成図。ルネサスのマイコン「RL78/G1D」と組み合わせれば、BLEを使ってデータをタブレットなどに送信するというシステムも構築できる(クリックで拡大)

 農業での活用を想定し、風力発電によって、センサーから得られたデータをLoRa WANで定期的に送信するデモも披露した。

農業向けの土壌モニタリングのデモ。土壌の温度や水分量を測定したデータを、風力発電によって、LoRa WANでデータを送信するという使い方を想定している。デモでは、扇風機で風車を回して発電し、そのエネルギーで、LoRa WANを使ってデータを送信していた(土壌のセンシングは実際には行っていない)(クリックで拡大)
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