ローデ・シュワルツ・ジャパン(以下、ローデ)は2019年1月16日、ネットワークアナライザーのフラグシップ製品となる「R&S ZNA(以下、ZNA)」を発表した。使い勝手の向上、高いRF性能、シンプルなセットアップという3つの特長を備える。
ローデ・シュワルツ・ジャパン(以下、ローデ)は2019年1月16日、ネットワークアナライザーのフラグシップ製品となる「R&S ZNA(以下、ZNA)」を発表した。同社の既存のハイエンドシリーズである「R&S ZVA」を置き換えるものとなる。ローデは「DUT(Device Under Test)がより複雑かつ高集積化し、製品開発サイクルがますます短くなる中、ハイエンドのネットワークアナライザーの重要性が増している」と説明する。
ZNAの特長は大きく3つある。使い勝手の向上、高いRF性能、シンプルなセットアップだ。
使い勝手としては、全面にタッチスクリーン(12.1型)を採用し、直感的なUI(User Interface)を実現した。スマートフォンやタブレットに慣れている若いエンジニアを意識したという。さらに、画面上に「測定ウィザード」の項目を設け、測定したいデバイスと評価項目を選び、パワーや周波数などを画面に従って選択していくだけで、簡単に設定できるようになっている。
RF性能としては、標準で129dB、最高で170dBという高いダイナミックレンジを実現している。
トレースノイズも改善している。既存の「R&S ZVA40」に比べて約4分の1となる、0.001dB(1kHzのIF帯域幅で)という低いトレースノイズを実現した。通常、ネットワークアナライザーにおいてトレースノイズとRBW(分解能帯域幅)はトレードオフの関係にある。RBWが広いと掃引速度は速くなるがトレースノイズは増加する。反対に、RBWを狭くするとトレースノイズは改善するが、掃引速度は遅くなる。ZNAでは、このトレードオフを最小限に抑え、「既存機種のネットワークアナライザーと同じRBWに設定しても、従来よりもトレースノイズが小さく、掃引速度は上がっている」(ローデ)
さらに、ZNAは2台のLO(ローカル)信号源と4台の信号源(phase locked)を内蔵している。内蔵LO信号源が2台あることで、例えばミキサーのRF信号とIF信号を同時に測定できるようになる。既存機種では内蔵LO信号源が1台なので、周波数が異なるRF信号とIF信号を測定するには、内蔵LO信号源の周波数を切り替えて2度測定する必要があった。ZNAではこれらを同時に測定できるので、測定時間が従来の半分で済むようになる。
4台の内蔵信号源は、ミキサーや2段コンバーターのIM測定など、3つ以上の信号源が必要な評価でも、外部コンポーネントを使わずに測定できる。特に、ミキサーの位相評価で外部の基準ミキサーなしに測定できるようになる。「これまで、当社や他社の既存ネットワークアナライザーでは、ミキサーの位相は単体では評価することができなかった。ZNAでは、2台の内蔵LO信号源と4台の内蔵信号源を使うことで、ミキサーの位相という非常に難しい測定を、外部コンポーネントなしでできるようになった」(ローデ)
ZNAは、周波数帯域が10M〜26.5GHzの「R&S ZNA26」、10M〜43.5GHz「R&S ZNA43」をラインアップしている。本体価格は、2ポートのR&S ZNA26が1190万円からとなっている。
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