リコーは、「nano tech 2019」で、インクジェット技術を用いてリチウムイオン二次電池を製造する技術などを紹介した。ウェアラブルデバイスなどに向けて自由な形状の電池を製造することができる。
リコーは、「nano tech 2019」(2019年1月30日〜2月1日、東京ビッグサイト)で、インクジェット技術を用いてリチウムイオン二次電池を製造する技術を紹介した。自由な形状の電池を製造でき、機器に二次電池を直接印刷することもできる。全固体電池についても今回の工法で製造が可能だという。
同社は、「表示する印刷」にとどまらず、「機能する印刷」の具現化に向けて、インクジェット技術や印刷材料のインク化、製造プロセスの開発などに取り組んできた。IoT(モノのインターネット)機器やウェアラブル端末向けに提案するリチウムイオン二次電池の製造技術もその一つだ。
インクジェット技術を用いてリチウムイオン二次電池を製造するために同社は、正極と負極の電極材料、セパレーターの材料をインク化した。電極材料のインクは、インクジェットヘッドから吐出できる低粘度で高濃度を実現している。電極材料は現在用いられている種類のほとんどをカバーしているという。また、セパレーターをインクジェット技術で形成する方法も新たに開発した。インクの粒子サイズは数百nmオーダーで、膜厚は数μm単位から制御することが可能という。
製造工程では、3個のプリンタヘッドを用いて、負極やセパレーター、正極向けのインクをそれぞれ吐き出し、設計データに基づいてデジタル印刷をする。このため、形状や性能が異なる多品種のリチウムイオン二次電池を製造する場合も、1つの製造ラインで対応できる。従来のような複数の製造ラインを用意したり、製造プロセスの組み換えをしたりする必要がない。必要な部分のみに材料を塗布するため部材の無駄も省けるという。
ブースでは、タブレット端末用基板の空きスペースに合わせた形状や、矢印や星形、ロゴマークなどの異形サイズ、メガネのテンプル(つる)に合わせた形状など、さまざまな試作品を展示した。
インクジェット技術の応用例として、「バイオ3Dプリンタ」を用いた医療分野向け事例も紹介した。細胞の種類や数を制御した「細胞プレート」は、薬剤スクリーニング試験や毒性評価試験などの用途に向ける。DNAを数個単位で配置した「DNA標準プレート」は、ウイルス否定安全性試験などの用途に向ける。この分野で同社が強みとするのは、高い生存率を維持する細胞の吐出技術だという。
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