超低消費電力のシリアルフラッシュ、標準品比で70%減 : あらゆる工夫を盛り込んだ (2/2 ページ)
その他、SRAMバッファでデータの書き込みおよびモディファイができる機能も追加した。SRAMバッファにある程度データが保存されると、1コマンドでフラッシュメモリアレイに移行することができる。これにより、フラッシュメモリのエンデュランス(書き換え回数)を節約し、消費電力を抑えることが可能になる。
Fusion HDには、バッテリーの充放電状態をモニタリングする「Battery Health Monitor」や、マイコンをリセットする「System Reset Generator」といった機能も搭載されている。このため、バッテリーモニタリング用や、マイコンリセット用の回路を用意する必要がなく、システム全体でBOM(Bill of Material)コストを低減できる。「われわれの調べでは、通常、こうした機能を搭載するためにチップを追加すると、10〜15米セントのコストが掛かる」(Hill氏)
「Battery Health Monitor」と「System Reset Generator」の機能 出典:Adesto(クリックで拡大)
Fusion HDは、まずは32Mビットからサンプル出荷を開始する。量産は2019年3月中に開始する予定だ。8Mビット品と16Mビット品は、2019年6月にサンプル出荷を、同年10月に量産出荷を開始する。4Mビット品は、同年11月に量産を開始する。
Hill氏は、Fusion HDのユースケースについて、「センサーとFusion HDを1つのモジュールに搭載した“センサーパック”などが可能なのではないか」と語る。「低消費電力のFusion HDならば、ひずみや温度、湿度、振動など、さまざまなセンサーパックを、建物や橋などに埋め込むような使い方もできるはずだ」(Hill氏)
Fusion HDの想定事例。IoTエッジデバイスとして、センサーとFusion HDを、1パッケージに搭載した“センサーパック”などが考えられるとHill氏は述べる 出典:Adesto(クリックで拡大)
Adestoは、産業向けをメインに不揮発性メモリを提供しているメーカーだ。2018年には、アナログ/ミックスドシグナルとRF ASICを手掛けるアイルランドのS3 Semiconductorsと、産業機器のモニタリングや制御といった用途向けにネットワークプラットフォームを手掛けるEchelonを買収した。
Intel 10nmプロセスの遅れが引き起こしたメモリ不況
2018年、メモリ市場の成長に暗雲が立ち込め、メモリ不況が避けられない事態となった。アナリストらは、メモリの過剰供給による価格の下落を要因として指摘しているが、どうも腑に落ちない。そこで筆者は、Intelの10nmプロセスの遅れという点から、メモリ不況の要因を探ることにした。
現行世代メモリと次世代メモリの違い
フラッシュメモリとその応用製品に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」。最近のFMS(2018年8月に開催)で公表された情報の1つに、半導体市場調査会社MKW Venture Consulting, LLCでアナリストを務めるMark Webb氏が「Annual Update on Emerging Memories」のタイトルで述べた、半導体メモリの技術動向に関する講演がある。その内容が興味深かったので、講演の概要をシリーズでお届けする。
Samsung、業界初の512GB容量eUFS 3.0メモリを量産
Samsung Electronicsは、業界初となる512GバイトのeUFS対応メモリの量産を開始したと発表した。
Samsung、28nm FD-SOIプロセス適用のeMRAMを出荷へ
Samsung Electronics(以下、Samsung)は、28nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター、以下FDS)プロセスをベースにした最初のeMRAM(組み込み型磁気抵抗メモリ)製品の量産を発表した。
鈍化するNANDフラッシュとDRAMの市場成長
今回は、NANDフラッシュメモリとDRAMの市場成長と価格変動について取り上げる。後半では、プレーナー型NANDフラッシュと3D NANDフラッシュの製造コストを比較する。
「シリコン・サイクル」の正体
今回は、「シリコン・サイクル」について解説する。シリコン・サイクルの4つの状態と、シリコン・サイクルが備える特性を紹介する。
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