Adesto Technologies(以下、Adesto)は、組み込み技術の国際展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日、ドイツ・ニュルンベルク)で、2月25日(米国時間)に発表したばかりの不揮発性メモリ「Fusion HD(Higher Density)」のデモを展示した。
Adesto Technologies(以下、Adesto)は、組み込み技術の国際展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日、ドイツ・ニュルンベルク)で、2月25日(米国時間)に発表したばかりの不揮発性メモリ「Fusion HD(Higher Density)」のデモを展示した。
Fusion HDは、Adestoが提供しているNOR型シリアルフラッシュメモリ「Fusion」の後継品である。2014年に第1世代品が発表されたFusionは、IoT(モノのインターネット)のエッジデバイスなど、低消費電力が要求される用途向けのメモリで、1.65〜3.6Vの電源電圧範囲で動作することや、スタンバイ電流を200nAまで低減したことなどが特長となっていた。
Adestoのシニアマーケティングディレクターを務めるPaul Hill氏は、「Fusion HDでは、これらFusionの特長を踏襲しつつ、さらに低消費電力化し、IoTエッジデバイスで使用するための機能も追加した」と述べる。
Fusion HDの容量は、4Mビット、8Mビット、16Mビット、32Mビットの4種類。スタンバイ電流は、最小で100nAまで低減している。
Fusion HDでは、従来は複数のコマンドで実行するRead-Modify-Writeの一連の処理を、1コマンドで実行できる。メモリとCPU間のやりとりが従来よりも減るため、全体の処理時間が格段に速くなる。また、「Active IRQ(interrupt request)」という機能を新たに追加した。これは、例えばRead-Modify-Writeなどで、Fusion HDの動作が完了した時にのみ、CPUにアラートが行く仕組みである。CPUは、アラートを受け取るまでの間、他のタスクを行うか、あるいは消費電力を低減するためにスリープ状態になることができる。Hill氏は「これによって、ソフトウェアの開発とテストも、従来よりもシンプルになる」と述べる。「Active IRQのような機能を備えたシリアルフラッシュメモリは、他にはないだろう」とHill氏は強調している。
さらに、Fusion HDでは、1ページ当たり256バイトあるいは4Kバイト単位で、消去/プログラムすることが可能だ。Hill氏は「IoTエッジアプリケーションでは、メモリに保存されるデータは多くの場合、数十バイトなど小さなサイズだ。それなら、わざわざ4Kバイトのブロック単位で消去やプログラムをする必要はない。非効率的だ。そこでFusion HDでは、4Kバイト以外に、256バイト単位で消去/プログラムをできるようにした。ページのサイズを通常よりも小さくしたわけだ。ページサイズが小さければ、消去/プログラムにかかる時間は、4Kバイト単位よりも格段に速く、効率的になる」と説明する。
Hill氏によれば、標準的なフラッシュメモリとFusion HDでデータロギングを行ったところ、Fusion HDの方が5倍高速で、消費電力も70%低いという結果を得られたという。
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