現行世代メモリの代表であるNANDフラッシュメモリとDRAMはいずれも、性能面で問題を抱える。ユーザーは不満を抱えつつも、使わざるを得ない。そこからユーザーの要望を完全に近い形て満たすメモリ、すなわち「次世代メモリ(New Memory)」への要求が生じている。
性能面の問題を見ていこう。NANDフラッシュメモリはアクセスが遅く、アクセスするデータの単位が大きく、書き換え回数の制限がある。その代わりに、記憶容量当たりの価格は非常に低い。
DRAMは電源を切るとデータが消えてしまう。シリコンダイ当たりの記憶容量はあまり増えなくなっている。そしてユーザーから見ると、チップ価格はあまり安いとは言えない。その代わりに良い点も数多くある。アクセスは高速であり、アクセスするデータの単位は小さく、書き換え回数の制限がない。
将来を展望したときに、NANDフラッシュメモリのスケーリング(高密度化)は続くものの、品質と速度の低下は避けられない。DRAMのスケーリング(微細化と高密度化)も続くが、そのペースはユーザーが望むペースよりも、はるかにゆっくりとしたものになる。
ユーザーが現行世代のメモリに対して抱えている不満は、時間の経過とともに緩和されるのではなく、時間の経過とともに強まる。ここに、次世代メモリを期待する声が高まっている大きな理由がある。
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
NANDフラッシュメモリのスケーリング論
現行世代メモリと次世代メモリの違い
「シリコン・サイクル」の正体
東芝、CMR方式HDDで最大容量16Tバイトを実現Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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