Pouttu氏は6G Wireless Summitの開催前に、「サミットの成果は、6Gに関する初のホワイトペーパーとしてまとめる予定だ。世界中から関係者が集結して、6Gの仕様について検討する。ホワイトペーパーでは、6Gの草案やロードマップ、ユースケース、要件、周波数帯の割り当てなどを定義する予定だ」と語っていた。同サミットには、HuaweiやChina Mobile、China Telecom、Ericsson、Qualcomm、Samsung Electronics、ETRI、NTTドコモなど、各地から主要企業が参加した。
「6G Wireless Summitは、6Gに貢献する意欲のある全ての企業や研究者を招いた世界的なイベントだ。6GフラグシッププログラムはUniversity of Ouluに設置されたグループで、自由に意見を交わすことが認められている。同プログラムは、世界中のグローバル企業や研究グループの意見を仰ぐ中で、6Gがどのようなものであるかについて、ある種のコンセンサスを獲得しつつある」(Pouttu氏)
同イベントの最終日には、6Gのビジョンと潜在的な技術が具体的に説明された。Nokiaのベル研究所のPeter Vetter氏、HuaweiのWen Tong氏、EricssonのMagnus Frodigh氏、SamsungのJuho Lee氏、NTTドコモの中村武宏氏、China TelecomのQi Bi氏、ChinaMobileのGuiyi Liu氏、ETRIのKwon Dong-Seung氏、 欧州委員会(EC)のBernard Barani氏の他、世界中から集まった研究者が登壇した。
講演者の1人で、ドイツのUniversity of Wuppertalで高周波通信技術の教授を務めるUllrich R. Pfeiffer氏は、テラヘルツアプリケーション向けIC設計や100Gビット/秒(bps)を上回る無線フロントエンドについて発表した。
同氏は、「テラヘルツの周波数の活用が進み、トランジスタの遮断(カットオフ)周波数を上回る半導体技術が試験運用されている状況で生み出される新たなアプリケーションや回路について、課題と機会の両方を十分に検討していく」と語った。BiCMOSプロセス技術は最近、最高周波数(fmax)が0.7THzに達し、十分なRF回路性能を備えながら最大約300GHzで動作できるようになったという。
6Gの仕様や要件などを検討しているプログラムは、既に始まっている。フィンランドは、5Gの商業化と6Gに必要となる要素技術の開発をサポートすべく、8年間で2億5100万ユーロを割り当てるプログラムをスタートしている。
中国は2018年に、6Gの研究を既に開始している。ITU(国際電気通信連合)には、次世代ネットワークのためのバックボーン技術を検討するワーキンググループもある。SRC(Semiconductor Research Corporation)は、テラヘルツ通信とセンシング技術を開発するための中央研究所を持っていて、1G〜100Gbpsの下り通信と、別個に変調した100〜1000のビームを目指している。
University of OuluのPouttu教授は、「6Gの標準化は、素材と通信の面で新たな課題を抱えるだろう」と述べる。さらに、スマートフォンだけでなく、例えばデスクや、家の壁、建物の窓ガラスなどがディスプレイとなり、Webサイトを表示するといったような、新しいアプリケーションも出てくるだろうと語った。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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