この日行われた工場見学会では、増強中の8インチウエハー前工程製造用クリーンルームが公開された。クリーンルームは奥行き126m、幅72m、高さ4.5m。3分の2が既に稼働中で、これまで使っていなかった残り3分の1ほどのスペースを新たに整備中であり、徐々に機器を搬入している状況が確認できた。
さらに、実際の製造工程についての説明も行われた。同社では、生産性、品質向上を図り、スマートファクトリー化が進められており、生産進捗、技術プロセス、品質情報などのデータをネットワークでリアルタイム管理している。前工程のラインでは、ウエハー25枚(1ロット)を収納したキャリーケースには、ロットの各ステータスを記載した電子ペーパーやRFIDタグを取り付けており、作業員がキャリーケースを処理用の機器に設置すると、認証システムがロット情報を読み取って加工の条件(レシピ)が反映され、処理が開始される仕組みとなっていた。説明担当者は「間違った情報の場合は機器が作動することはない。作業者のミスも防止することができる」と話していた。
また、落雷による瞬間的な電圧低下や停電対策も行っている。北陸は冬季に雷が激しくなる傾向があり、徳永氏は、「0.1秒程度の停電でも、生産に非常に大きな影響を与える」と説明。その対策として、電圧低下や停電を検出すると、入力電源を高速に遮断するとともに、双方向コンバーターがエネルギー蓄積装置から工場インフラへの給電を始めるMPC(多機能変換装置)という装置を配置していることを紹介した。同装置は、過去10年間で214回作動し、安定した電力供給を実現しているという。
このほか、後工程のラインも公開された。ここでは、小型、薄型パッケージのSiディスクリートデバイスを製造。同社が開発した高密度の「Matrixライン」によって材料効率を高め、高品質かつローコスト製造を実現している。また、開発、製造、解析や組み立てまで一括して行っていることから、「最短24時間の納期にも対応可能」だという。
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