矢野経済研究所は、高機能フィルムの世界市場予測を発表した。特にFoldableスマートフォンカバー用透明PI(ポリイミド)フィルムは2019年に13万m2の出荷量が見込まれ、2021年は35万m2規模に拡大する見通しだ。
矢野経済研究所は2019年8月、高機能フィルムの世界市場予測を発表した。特にFoldable(折り畳み)スマートフォンカバー用透明PI(ポリイミド)フィルムは、2019年に13万m2の出荷量が見込まれ、2021年は35万m2規模に拡大する見通しだ。
矢野経済研究所の調査によれば、Foldableスマートフォンや5G(第5世代移動通信)基板などに向けて、新しいフィルムの開発が進んでいるという。これらは低誘電や低吸水、高耐熱、折り曲げ特性などに優れた製品である。
Foldableスマートフォンカバー用途では、PIの分子構造や配合を改良することで透明性を向上させている。しかも、材料配合や重合技術を工夫することで、耐衝撃性や変形耐性など機械的強度を増した製品が登場する。
今回の調査結果によれば、Foldableスマートフォンカバー用透明PIフィルムの2020年出荷量は、2019年に比べ約54%増の20万m2になると予測した。2021年も2020年比75%増となる見通しだ。PI以外でも、透明アラミドフィルムや耐屈曲性PETフィルム、自己修復機能付き光学用高透明ウレタンシートなどが登場し、市場の拡大をけん引するとみている。
5G基板向けでも、原料のポリマー段階から特性の改善に取り組む動きが強まっている。例えば、吸水率や誘電正接がLCP(液晶ポリマー)に近いPIの膜を形成したフィルムが登場する。COP(シクロオレフィンポリマー)などでも、5G基板への展開を想定し、低誘電や低吸水、高耐熱を実現するための研究開発が活発になっているという。
今回の調査は、Foldable端末カバー用フィルムの他、PETフィルムや低誘電フィルム、MLCCリリースフィルム、偏光板用プロテクトフィルムといった高機能フィルムを対象とした。
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