矢野経済研究所は、カーボンナノチューブ(CNT)世界市場について、2023年までの予測を発表した。
カーボンナノチューブ(CNT)の世界出荷量は、2023年に約4000トンとなる見通しだ。2017年から2023年までの年平均成長率(CAGR)は12.8%と予測する――。矢野経済研究所は2019年2月、CNTの世界市場(メーカー出荷量)を調査し、将来展望などを発表した。
CNTの世界市場規模は、2018年に2255.8トンとなる見込みである。前年に比べ18.5%の増加となる。単層CNTは低価格化が進み、導電性/帯電防止塗料・コート剤、熱硬化性樹脂複合材など、幅広い用途に採用された。
多層CNTもリチウムイオン電池導電助剤向け需要が拡大した。特に、EVやPHEVの生産が増加する中国市場がけん引する。導電助剤を添加することで、リチウムイオン電池の寿命を延ばすことができるという。導電助剤としては多層CNTの他、カーボンブラックや黒鉛粉末などが用いられる。調査データによれば、リチウムイオン電池の導電助剤市場規模は、2018年に1万トンを超える見通しである。このうち、多層CNTの比率は15%強に達する。
今後の市場も、単層CNTと多層CNTがリチウムイオン電池の導電助剤として需要をけん引すると予測した。また、複合材料向けは、電子部品の搬送用トレーや自動車のフューエル(燃料供給)部品など、既存の用途に向けた需要が中心になるとみている。これらの状況から、2023年のCNT世界市場は、3931.1トンと予測した。
今回の調査は2018年9〜12月に実施した。単層CNTと多層CNT製品を対象に、関連するメーカーやユーザーに専門調査員が直接面談するなどして調べた。なお、調査の詳細は「2018〜2019年版カーボンナノチューブ市場の現状と将来展望」と題した資料にまとめている。
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