Hewlett-Packard Enterprise(HPE)は、AMDの第2世代のサーバプロセッサ「EPYC」(開発コードネーム、Rome)について、「現在3種類のRome搭載システムを販売しているが、1年以内に12種類に増やす計画だ」と述べている。
Hewlett-Packard Enterprise(HPE)は、AMDの第2世代のサーバプロセッサ「EPYC」(開発コードネーム、Rome)について、「現在3種類のRome搭載システムを販売しているが、1年以内に12種類に増やす計画だ」と述べている。また、Lenovoは2種類のシステムにRomeを搭載することを発表している。その1つは、多くのSSD(Solid State Drive)を必要とするユーザーをターゲットにしている。さらにDellも2019年秋に出荷するサーバにRomeを搭載する予定だが、詳細は発表していない。
一方、米国のスーパーコンピュータベンダーであるCrayのCEO(最高経営責任者)を務めるPete Ungaro氏は、「EPYCを搭載する当社のHPC(High Performance Computing)システム『Shasta』は、10億米ドル近い予約が入っている」と述べている。同社は最近、Romeベースの3種類の政府向けシステムの契約を勝ち取っており、それに向けて、2020年リリース予定の次世代EPYCを搭載したエクサスケールのシステムを開発する計画だという。
AMDは、2020年リリース予定である次世代EPYC(開発コードネーム、Milan)用のx86コア「Zen-3」(TSMCの7+nmプロセスを適用)の設計を既に完了している。現在は、さらにその後継EPYC(開発コードネーム、Genoa)向けに「Zen-4」コアを設計しているという。
米国の市場調査会社Mercury ResearchのDean McCarron氏によると、第1世代EPYC(開発コードネーム、Naples)によって、AMDのサーバ市場におけるシェアは過去1年間で約1.4%から約3.4%に増加したという。ほかにも複数のアナリストが、「AMDは2020年6月までにサーバ市場で10%のシェアを獲得するだろう」と述べている。
米国の市場調査会社The Linley GroupのLinley Gwennap氏は、「Naplesはシングルコアの性能が比較的遅く、消費電力が多かったが、Romeではその問題が修正されている」と話している。一方、米国の市場調査会社Moor Insights & StrategyのPatrick Moorhead氏は、「Intelは、『Intel DL(Deep Learning)Boost』によって推論の分野で、『Optane DIMM』によって、インメモリデータベースの分野において優勢を保つだろう」としている。
Moorhead氏はさらに、「AMDはハイパースケーラーに対して確実な基盤を獲得しているが、企業のプライベートデータセンターのシェアはそれほど多くない。同社は過去2年間、企業向けに多くの投資を行っているが、Intelが過去10年間に投資してきた額とは比べものにならない。そのためHPEやDell、Lenovoなどの機器メーカーに頼らざるを得ないが、最近はその3社のいずれもAMDの需要を生み出すような業績をあげていない」とも分析している。
米国の市場調査会社IDCのアナリスト、Shane Rau氏によると、「AMDは、年間販売台数約900万台規模のサーバ市場の10%をターゲットにしている。一方、Intelはストレージやネットワークシステムを含む1200万〜1400万台規模のより広い市場を狙っている」という。2019年のサーバ市場は、ハイパースケーラーが2019年秋に投資を再開するかどうかによって、横ばいから5%までの成長となると予想される。
Nomura Instinetの金融アナリスト、Jeffrey Kvaal氏は、「2019年第2四半期、米国では、インターネット大手企業の設備投資が243億米ドルに達した」と述べている。Kvaal氏は、「第1四半期に5%減少した後、前年比で2桁台の成長率に戻った」としているが、それでも予測からは9%下回っている。
過去2年間、サーバやその他機器への投資は盛んだったが、2019年第1四半期にはハイパースケーラーの勢いが弱まった。McCarron氏は、「クラウド需要の低迷や、企業や政府向け市場の急激な落ち込みによって、サーバ用CPU売上の低下は、過去10年間で最悪だ」としている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.