最後に、「Act.Global」については、現在研究開発拠点が、日本、欧州、中国、米国の4カ所にあるものの「日本が主体となって研究を進めているのが実態だ」と説明したうえで、「今後はテーマごとに、リードすべき拠点に指揮命令系統を移していく。将来的には4つが対等な関係となった、本当にグローバルな研究所となるよう目指す」と話した。
また、高度専門職人材の獲得競争の加熱に触れ「特にAI分野では非常に採用が厳しくなってきている。そこを突破しなければいけない」と強調。「報酬、予算、裁量、インセンティブを思い切って与え、世界の一流研究者を採用していきたい」と語っていた。
会場では、量子コンピュータが「量子超越性」の実証に成功したとするGoogleの発表に関し、報道陣から富士通の見解を求める質問が出た。これに対して原氏は、「ノイズを低減することで、53量子ビットまで動作させたことは大きな成果と思うが、従来の延長線上の革新だととらえている。乱数生成という問題に特化したもので、汎用的に問題が解けるというものではない」述べた。
そのうえで、「われわれが最も力を入れているのは、量子コンピュータが実現したときどのようなアルゴリズムを動かせば一番いいのかという、量子計算のアルゴリズムだ。カナダのウォータールー大学とともに研究を進めている。また、量子コンピュータのハードウェアについても、海外の研究機関と基礎研究を行っている」と説明した。
この日は、前述の新技術以外にも、さまざまな研究開発成果が展示されていた。
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