地震計測を世界で統一し、ISOで標準化しようという動きが出ている。主導しているのは日本だ。振動試験装置などを手掛けるIMVは2019年11月21日に都内で記者発表会を開催し、地震計測の標準化について説明した。
地震計測を世界で統一し、ISOで標準化しようという動きが出ている。主導しているのは日本だ。
振動試験装置などを手掛けるIMVは2019年11月21日に都内で記者発表会を開催し、地震計測の標準化について説明した。
地震計には世界的な標準規格がなく、そのクラス分けは国によって異なっている。「震度3」「震度4」などの基準は、日本でしか通じない。海外にも地震計はあるが、どちらかというと地質の状況を見るための計測である場合が多く、災害としての揺れを測るためのものではないという。IMVの執行役員でMES(Measuring System)事業本部長を務める西原弘之氏は「地震計測を何とか世界で統一し、万人に分かるような基準を作る動きが始まっている」と説明する。
その背景にあるのが、2015年に開催された国連防災世界会議で採択された「仙台防災協力イニシアティブ」だ。日本の技術や工法を生かして、事前の防災投資としてのインフラ整備や防災機材の供与、防災に関するシステム整備のための人材育成、被災後の復興支援などを行うというもの。国連防災機関(UNISDR)などへの支援を強化する他、災害において日本と同じような脆弱性を抱えている他国に対し広域の協力を実施するという、グローバルな協力も盛り込まれている(参考:外務省資料)。
地震計のISO標準化は、仙台防災協力イニシアティブの一環となる取り組みだ。この標準化で統括機関となったのがIMVである。地震計のISO標準化では、統括機関の他に、調査機関と協力機関があるが、地震計測関連のマーケットについてそれらの機関の知見をまとめて政府に提案したり、地震計測の技術を提案したりというのが、IMVの主要な役割となる。
標準化は、審査や国内意見(パブリックコメント)の集約、ロビー活動などを経て、2022年の規格番号の発行を目指して進められる。西原氏によれば、標準化が完了した後は、IMVの製品(振動計測装置や地震監視装置など)は順次、そのISO規格に準拠していくようになるという。
今回のISO標準化によって、日本は、地震に関連する技術を世界に輸出していくことになる。西原氏は、「IMVが、国策において一定の役割を担っていける他、産官学連携による新しいビジネス機会を創設できると確信している」と強調する。「世界の地震国がわれわれにとってビジネス機会の対象となる。イタリアやトルコ、パキスタン、インドネシア、米国西海岸、中南米諸国など、地震災害が多い国々で新たなビジネス機会を得ることができる」(同氏)。さらに同氏は「詳しいことは言えないが、現在、大学と産学ジョイントベンチャーの立ち上げが進んでいる。大学の知見を得て、(地震計測に関する)日本の知を世界に発信していきたい」と付け加えた。
大阪に本社を置くIMVは1957年に設立された。2019年9月期の年間売上高は123億4800万円。11年連続で増収を達成している。
同社の事業は大きく分けて、振動試験装置の開発と製造、販売を行う「DSS(Dynamic Simulation Systems)」、振動試験などを行う「TSS(Test & Solution Service)」、地震監視装置や振動計測装置の開発、製造、販売を行う「MES」の3つになる。売り上げ構成比率は、DSS事業が最も高く72%。TSSが18%でMESが10%だが、IMV社長の小嶋淳平氏によると、MES事業を今後の核にしていくという。
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