大阪大学は、イタリアジェノバ大学などとの共同研究で、ゲージ率(ひずみの感度)が「400」以上を示すフレキシブルひずみセンサーを開発した。従来に比べ200倍の感度を実現したことで、これまで測定が難しかったマイクロひずみの検出も可能となる。
大阪大学は2019年12月、イタリアジェノバ大学などとの共同研究で、ゲージ率(ひずみの感度)が「400」以上を示すフレキシブルひずみセンサーを開発したと発表した。従来に比べ200倍の感度を実現したことにより、これまで測定が難しかったマイクロひずみの検出も可能となる。
今回の成果は、大阪大学産業科学研究所の神吉輝夫准教授、遠藤史也氏(基礎工学研究科博士前期課程)、イタリアジェノバ大学、Daniele Marre(ダニエレ マレー)教授および、CNR所属のLuca Pellegrino(ルカ ペリグリーノ)博士、Nicola Manca(二コラ マンカ)博士との共同研究によるものである。
フレキシブルひずみセンサーは、脳波やわずかな筋肉の動き、建物などの微小なひずみなどを測定するために用いられている。産業用途の製品には一般にニッケル合金が用いられ、ゲージ率は「2」程度であった。このため、微小なひずみを検出する場合、従来は信号増幅やノイズ低減の技術を改善して対応するしかなかったという。
研究グループは今回、新たな材料やプロセスの開発に取り組んだ。これにより、フレキシブルひずみセンサー自体の感度を高め、信号増幅なしで微小なひずみの検知を可能にした。
具体的には、「ひずみ応答性に優れた二酸化バナジウムの単結晶化技術」や「基板からの剥離技術」さらには、「フレキシブルシート上への転写技術」と、3つの技術を全て確立。これらの技術を応用して、高感度のフレキシブルひずみセンサーを実現した。
センサーの信号を増幅しなくても微小なひずみの検知を行えることから、周辺回路の簡素化や省エネ化が可能となる。ヘルスケアや医療分野、建物や橋などインフラの管理といった用途で、より高精度の測定を行うことができるという。
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