STMicroelectronics(以下、ST)は2020年3月5日(スイス時間)、GaN(窒化ガリウム)パワー半導体を手掛けるフランスExaganを買収することで合意したと発表した。STは、Exaganの株式の過半数を取得する。
STMicroelectronics(以下、ST)は2020年3月5日(スイス時間)、GaN(窒化ガリウム)パワー半導体を手掛けるフランスExaganを買収することで合意したと発表した。STは、Exaganの株式の過半数を取得する。
STは時間をかけて、SiC(炭化ケイ素)で優れた市場を創出してきたが、パワー半導体市場においてSiCとGaNは緩やかなすみ分けができており、Exaganの買収によって、STは産業市場の顧客が示すさまざまな要求に応じられるようになるだろう。
Exaganは、Siベースの技術から、GaN-on-silicon技術への移行を加速させ、コンバーターの小型化、効率化を実現している。同社のGaNパワースイッチは、標準的な200mmウエハーラインで製造できる。
Yole Développementの技術およびマーケットアナリストであるEzgi Dogmus氏は「SiCパワーデバイス市場でのリーダー的ポジションに加え、STはGaNパワーデバイス事業で重要な一歩を踏み出した。Exagan買収の前となる2020年2月には、GaN製品においてTSMCと提携すると発表している。このようにSTは、新興のGaNパワー市場で地位と製品ポートフォリオの両方を強化している。Exaganは、急速充電アプリケーション向けのGaN SiP(System in Package)ソリューションにおいて、注目に値する特許ポートフォリオとノウハウを有している」と述べた。
STのAutomotive Products Groupで、新素材/パワーソリューション部門の戦略的マーケティング担当ディレクターを務めるFilippo Di Giovanni氏は、「GaNは、高効率化と小型化のいずれも妥協したくないという企業にとって魅力的な技術だ。GaNの採用で恩恵を受けるのは、コンバーターと車載製品である」と説明する。
同氏は「われわれは、GaNパワーデバイスが、システム設計者にとってさまざまなアプリケーションで電力効率の向上をもたらす大きな機会になると確信している。例えばポータブル機器の電源や充電器の他、データセンターの電源、クルマのOBC(On-Board Charger)、48VハイブリッドシステムのDC-DCコンバーターといった具合だ」と続けた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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