エッジAI(人工知能)技術を手掛ける米スタートアップXnorが、Appleによってひそかに買収されたと報道されている。
エッジAI(人工知能)技術を手掛ける米スタートアップXnorが、Appleによってひそかに買収されたと報道されている。GeekWireの調査によると、買収金額は約2億米ドル。この買収により、Xnorが手掛ける物体検出用の低消費電力アルゴリズムが、「iPhone」に搭載される可能性がある。
Allen Institute for Artificial Intelligence(AI2)からのスピンアウトであるXnorは、3年前に設立されて以来、1460万米ドルの資金を調達した。Xnorの創設者であるAli Farhadi氏とMohammed Rastegari氏は、オブジェクト検出に広く使用されているニューラルネットワークであるYOLOの開発者でもある。
実はXnorは2019年11月、米国ワシントン州シアトルに拠点を置くスマートセキュリティカメラメーカー、Wyze Camとのライセンス契約を突然撤回した。
Xnorの組み込みプロセッサ向けソリューションは、重みと活性化値を二値化したBNN(バイナリニューラルネットワーク)をベースとする。これにより、モデルのサイズとメモリ要件が削減される。同社のバイナリ畳み込みニューラルネットワークである「Xnor-net」は、精度を維持しながら、非常に少ない処理能力で画像内のオブジェクトを検出することが可能だ。
同技術は、スマートフォンなど、リソースに制約のある環境での画像処理に使用できる他、セキュリティカメラやリモートセンサーネットワークでも使用できる。例えば、「Raspberry Pi Zero」にXnorのアルゴリズムを実装したデモでは、8fps(フレーム/秒)で人物を検出した。
さらに、Lattice Semiconductorの低消費電力FPGA「ECP5」を使ったデモでは、32fpsで人物検出の推論を行い、その際の消費電力は48mW(推論当たり1.5mJ)だった。デモには小型のソーラーパネルが使われ、太陽光発電によって推論を行った。
画像処理技術に関してAppleはここ最近、スマートフォンで撮影した画像処理の技術に強みを持つ英スタートアップのSpectral Edgeを買収した他、Imagination Technologiesと新たな契約も締結している。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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