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ローム、コンデンサー節減に向けた電源技術確立電源回路の設計負荷を大幅に削減

ロームは、コンデンサーの個数や容量を大幅に削減することができる電源技術「Nano Cap」を確立した。既にNano Cap搭載のオペアンプについてサンプル品を出荷中。リニアレギュレーターICやLEDドライバーICについても2020年中にはサンプル出荷を始める。

» 2020年04月22日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

リニアレギュレーターICやLEDドライバーICにも搭載

 ロームは2020年4月、コンデンサーの個数や容量を大幅に削減することができる電源技術「Nano Cap」を確立したと発表した。既にNano Cap搭載のオペアンプについてサンプル品を出荷中。リニアレギュレーターICやLEDドライバーICについても、2020年中にはサンプル出荷を始める予定である。

 Nano Capは、アナログ回路における応答性能の改善と、配線や増幅器の寄生要因を最小化する技術。これによって、これまで電源ICの出力側に外付けしていたコンデンサーを用いなくても、電子回路の安定動作を可能にした。回路設計の負荷も軽減できるという。

従来技術とNano Cap技術によるコンデンサー構成の違い 出典:ローム

 電子機器向けの一般的な回路では、電源出力を安定させるためリニアレギュレーターICの出力側に1μF、マイコンの入力側に100nFのコンデンサーを、それぞれ用いるなどしていた。Nano Capを搭載したリニアレギュレーターICを採用すれば、マイコン入力側のコンデンサーのみで、電子回路の動作を安定させることができるという。

 一例だが、評価したNano Cap搭載のリニアレギュレーターIC(コンデンサー容量100nF、負荷電流変動50mA)は、負荷電流変動に対する出力電圧変動値が±3.6%という安定動作を実現した。

従来技術とNano Cap技術による出力電圧変動値の違い 出典:ローム

 同社はこれまで、Nano電源技術として、超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control」や超低消費電流技術「Nano Energy」を開発し、製品に搭載してきた。そして新たな電源技術「Nano Cap」を確立し、コンデンサーの使用個数や容量の節減を可能にした。引き続き、コンデンサーレスの実現に向けて技術開発を進めていく計画である。

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