NEC、自営通信網向け学習型通信分析技術を開発:専門家のノウハウをAIで学習
NECは、ネットワークの専門家がいなくても、「ローカル5G」などの自営無線網を常時高品質で利用することができる「学習型の通信分析技術」を開発した。
NECは2020年5月、ネットワークの専門家がいなくても、「ローカル5G」などの自営無線網を常時高品質で利用することができる「学習型の通信分析技術」を開発したと発表した。
通信キャリアが運用する公衆無線網では、通信品質の劣化が生じるとネットワークの専門家が通信状態を分析し、速やかに対応することで問題を回避している。ところが、ローカル5Gなどを導入するユーザーでは、最適運用を行うために必要な専門家を十分に確保することが難しいという。
今回開発した技術は、ネットワーク専門家の分析ノウハウをAIで学習する。これにより、通信混雑や競合によって生じる品質劣化を回避するための運用をリアルタイムに行い、ローカル5Gを高い性能で安定的に利用することが可能になるという。
目指すローカル5Gの世界 出典:NEC
具体的には、まず現在の通信トラフィックから無線通信の状態を識別する。続いて、アプリケーションの種別を識別するという階層的なクラスタリング手法によって、人手を介せずリアルタイムかつ高精度な推定を実現した。
開発した手法は教師なし学習をベースとしており、過去と最新モデルの類似度に基づいてモデルパラメータを自動で更新する。このため、利用状況の変化などにも自動で追従できるという。
学習型通信分析技術の概要 (クリックで拡大) 出典:NEC
NECは、開発した技術をローカル5Gだけでなく、幅広いネットワークの最適運用に展開していく計画である。
- “データの意味を推定”するAI、NECが開発
NECは、さまざまなデータシートに記載された数値の意味を推定するAI(人工知能)技術「データ意味理解技術」を開発した。専門家でも1カ月要していたデータ統合作業を、わずか1時間に短縮できるという
- NEC、半分の学習データ量で済む深層学習技術
NECは、学習データ量が従来のほぼ半分でも、高い識別精度を維持できるディープラーニング(深層学習)技術を開発した。
- 3GPPが標準化作業の延期を決定、5G展開が鈍化か
3GPPは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響で、5G(第5世代移動通信)に関する一部の重要な標準化作業を延期することを決定した。これを受けて、5Gの展開スピードが鈍化することになりそうだ。
- 5Gの導入で変わる? RFチップの材料
「Mobile World Congress(MWC) 2020」の中止にもかかわらず、特に5G(第5世代移動通信) RFのフロントエンドモジュールでシリコン性能の限界に到達しつつあるエレクトロニクス企業の中で、5Gの追及は時間単位でより劇的に高まっている。
- 5G-SEP候補の勢力図、上位3社は変わらず
情報通信関連技術の調査などを行うサイバー創研は、3GPPの5G標準必須特許(5G-SEP)に関する調査を行った。
- 勢いづく5G、2025年には契約数が26億件に
Ericssonの日本法人エリクソン・ジャパンは2019年12月17日に記者説明会を実施。同社CTO(最高技術責任者)の藤岡雅宣氏が、移動通信市場のトレンドに関する最新の報告書「エリクソンモビリティレポート」(Ericssonが同年11月25日に発行)のハイライトを説明した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.