スマートフォンなどの端末カメラで静脈認証を実現した「世界初」の技術を手掛ける日本のスタートアップ「ノルミー」は2020年6月2日、米国のベンチャーキャピタル(VC)Pegasus Tech Venturesから総額2.7億円の資金調達を実施した、と発表した。ノルミーは今回の資金調達について、「海外展開のマーケティングを中心に投資していく予定だ」としている。
スマートフォンなどの端末カメラで静脈認証を実現した「世界初」の技術を手掛ける日本のスタートアップ「ノルミー」は2020年6月2日、米国のベンチャーキャピタル(VC)Pegasus Tech Venturesから総額2.7億円の資金調達を実施した、と発表した。ノルミーは今回の資金調達について、「海外展開のマーケティングを中心に投資していく予定だ」としている。
スマホのログインや電子商取引、ATMなど身近な場面で使われることが増えた生体認証だが、特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響から、その対応策として「非接触型」の生体認証技術へのニーズが高まっている。
ノルミーにおいても特に2020年3月以降引き合いが急増しているといい、同社によると2020年5月末にも国内の一部上場企業が購入を決定するなどしたほか、フランスのセキュリティ企業、インドの生体認証メーカー、オーストラリアのオンラインチケット販売企業、カナダのモバイル決済会社など、国内外から多数の問い合わせがあるという。
同社が提供するのは、従来、専用装置や赤外光が必要となる静脈認証をスマホやタブレットなどの端末カメラで実現した「世界初」(同社)の静脈認証技術を用いた生体認証サービス。非接触かつ、必要なデバイスはスマホやタブレット端末のみでありながら、「他の生体認証以上の高セキュリティ、高精度の生体情報の認証が可能になる」としている。同社はこの技術に関して、世界11カ国で特許を取得している。
具体的には、スマホなどに搭載されている可視光カメラで撮影した手のひらの画像データから、掌紋形状と静脈パターンを同時に抽出、この2つの生体情報を用いたハイブリッド認証を行う。通常、可視光カメラで手のひらを撮影した場合、静脈は薄っすらとしか視認できないが、「少なくとも赤色を含む光」を手のひらに当て、さらに色変換などを用いる独自のアルゴリズムによって、鮮明な静脈パターンデータの取得を実現。高精度な認証を可能としている。なお、この「少なくとも赤色を含む光」は、スマホの場合は白色LED(フラッシュ)や、画面からの光を利用することで、特別な光源も不要としている。
この認証技術は、30万画素以上のカメラであれば対応可能となっている。さまざまなモバイル端末で利用できるソフトウェアソリューションでありながら、他人受入率(FAR)0.0006%、本人拒否率(FRR)0.2%と高い認証精度を実現。モバイルの生体認証製品として、世界で初めてCC認証のEAL 2(Evaluation Assurance Level:評価保証レベル)を取得したとしている。また、Android、iOS、Windowsなど広範なプラットフォームに対応している。
モバイルバンキングやモバイル決済、法人端末の社員認証などで利用できる1:1認証のほか、クラウドを用いた1:N認証も可能。1:N認証では、一度手のひらの情報と個人情報をクラウドサーバ上に登録すれば、スマホやタブレットに付属するカメラに手をかざすだけで、場所や端末を選ばずさまざまな認証や決済サービスの利用が可能となることから、キャッシュレス決済やMaaS、チケットレスなどの大規模なユースケースが実現できるとしている。
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