運転の品質を最も大きく左右する操作は、ステアリング(ハンドル)である。安全という観点からは、ステアリングは常に両手で把持していることが望ましい。そこで最近では、ステアリングに運転操作系と快適・利便操作系のスイッチを搭載する動きが活発である。このようなスイッチを「ステアリング・スイッチ」と呼ぶ。
ステアリングの中央(ハブ)からは、左右にスポークが伸びている。このスポークにスイッチを搭載し、親指でスイッチを操作する。例えば右のスポークには運転操作系のスイッチ、左のスポークには快適・利便操作系のスイッチを搭載することで、運転者にとって操作を容易にしている。
さらに従来はトンネルコンソールに搭載していたギアのシフトレバーを、ステアリングに搭載することで運転の品質を高めた乗用車が登場している。スポークの左右裏面にリムに沿って配置した2つのパドル型スイッチ(「シフト・パドル」と呼ぶ)を手指で操作することで、ドライブモード(オートマチックモードとマニュアルモード)を切り替えるとともに、マニュアルモードでの変速操作(ギアチェンジ)を実行する。
ステアリング・スイッチの弱点は、スイッチを搭載可能なスペースが狭いことだ。全ての操作系スイッチをステアリングに載せることは難しい。そこでトンネルコンソールに快適・利便操作系の集中制御スイッチを搭載し、ディスプレイと連携して操作するGUIタイプの車載HMIデバイスが開発され、実用化されている。また最近はスマートフォンの静電容量タッチセンサーが普及していることから、集中制御スイッチにも静電容量タッチセンサーを採用した事例が出てきた。
(次回に続く)
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