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自然な光をカラー多重ホログラムとして瞬間記録カラーフィルターアレイは不要

情報通信研究機構(NICT)らの研究グループは、一般照明光や発光体をマルチカラーのホログラムとしてセンシングできるシステムを開発した。カラーフィルターアレイを使わずに、1回の撮影で記録することができる。

» 2020年08月03日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

計算コヒーレント多重方式を採用、1回の撮影で記録

 情報通信研究機構(NICT)と科学技術振興機構(JST)、桐蔭学園桐蔭横浜大学および、千葉大学の研究グループは2020年7月、一般照明光や発光体をマルチカラーのホログラムとしてセンシングできるシステムを開発したと発表した。カラーフィルターアレイを使わずに、1回の撮影で記録することができる。

 今回の研究では、NICTが提案してきた「計算コヒーレント多重方式」を用いた。この方式は、ホログラフィの原理を用いて多次元情報を多重記録する技術の1つ。研究グループは実験を行うため、専用のモノクロイメージセンサーを試作し、システムに搭載した。

開発したセンシングシステムの測定手続き (クリックで拡大) 出典:NICT他

 このイメージセンサーには、波長依存性位相変調素子アレイを用いている。位相変調素子は、計算コヒーレント多重方式に必要となる波長依存位相シフトを生成、これが空間方向に展開されることによって、カラー情報と明るいホログラムを取得することが可能となった。

 1回のホログラム画像撮影で記録できるため、ホログラフィック多重を用いる従来のカラー多重3次元蛍光顕微鏡に比べ、測定回数を250分の1以下に大幅削減することができるという。

上図はホログラフィックカラー多重3次元蛍光顕微鏡応用の実験および試作したイメージセンサー。下図は実験結果 (クリックで拡大) 出典:NICT他

 カラーフィルターアレイを用いることなく、マルチカラーの情報をセンシングすることができることから、光量の限られた条件下でも、記録時間の短縮や動画記録の限界性能を向上することが可能となった。

 研究グループは今後、光学システムの改良に取り組み、高画質記録や高速記録、動き回る多数の微小物体の3次元動画像観察などにも対応していく考えである。

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