ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は2020年9月24日、同社のイメージセンシング技術がSUBARUの運転支援プラットフォーム「アイサイト」の最新世代に採用された、、と発表した。カメラベースのADASを実現するもので、同プラットフォームが搭載される初の車種は同年10月発売予定の新型「レヴォーグ」となる。
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は2020年9月24日、同社のイメージセンシング技術がSUBARUの運転支援プラットフォーム「アイサイト」の最新世代に採用された、と発表した。カメラベースのADASを実現するもので、同プラットフォームが搭載される初の車種は同年10月発売予定の新型「レヴォーグ」となる。
新世代アイサイトは、センサーとして広角化した新開発のステレオカメラのほか前後4つのミリ波レーダーを使用し、車両の周囲360度のセンシングを可能とした運転支援プラットフォームで、SUBARUが2020年8月、新型レヴォーグを発表した際に紹介していた。ステレオカメラはAutoliv(オートリブ)から分社化したVeoneer(ヴィオニア)が手掛けているが、ここに組み込まれるイメージセンサーに、オン・セミコンダクターの車載ADAS向けイメージセンサー「AR0231」が採用されたという。同社のCMOSイメージセンサーは、前世代のアイサイトにも「AR0132」が採用された実績があり、今回の新世代アイサイトについても、SUBARUのさまざまな技術要件に対応することで採用が決定したという。
具体的には、まず前世代のAR0132が1.2Mピクセルだったのに対し、AR0231では光学サイズは1/2.7インチとAR0132と同サイズでありながら2.3Mピクセルまで高画素化している。ここで同社は低照度環境での感度向上および読み出しノイズの削減などを実現する独自の「DR-Pix技術」を用いた3.0μm裏面照射(BSI:Back Side Illumination)ピクセルによって、高感度と低い暗電流も実現。HDRに関しては、3回露光、40フレーム/秒で120dBを実現するうえ、4回露光でさらに広ダイナミックレンジを実現するモードもサポート(この場合30フレーム/秒)。同社は、「顧客のシステムに応じて選択できる」と説明している。
さらに、LEDフリッカー軽減(LFM)機能も組み込んだことから交通標識の認識やLEDヘッドライト/テールランプの検出も可能となり、「全ての照度条件と、より広い視野でのパフォーマンスを改善した」という。車載機器として求められる機能安全についても、Embedded Dataとセンサー故障検出機能を内蔵しISO 26262 ASIL-Bを準拠、動作温度は−40〜+105℃でAEC-Q100認証にも適合している。
これらの性能向上およびレーダーとの連携などによって、「アダプティブクルーズコントロール」や「プリクラッシュブレーキ」などの既存のADAS機能に加え、ウィンカー操作に応じて車線変更をアシストする「アクティブレーンチェンジアシスト」やドライバーが急病などで運転できなくなった場合に車線内で減速、停車などを行う「ドライバー異常時対応システム」などの追加機能のサポートも実現したという。
オン・セミコンダクターは米Motorolaの半導体部門だった時代を含めれば車載ソリューションに関して50年以上の歴史を持っており、車載のイメージセンサーや超音波センサーインタフェースなど複数の分野でシェア1位を誇っている。実際に2019年に世界で生産された車両1台あたり230個を超える同社製品が搭載されている計算になるという。今回の新型「レヴォーグ」にも、ドライバーモニター用のイメージセンサーなどAR0231以外の製品が複数搭載されている。
市場調査会社テクノ・システム・リサ―チの予測によれば、2020年のイメージセンサー市場においても車載カメラではシェア58.5%、車載センシングカメラに絞ればシェア77%と、オン・セミコンダクターが2位以下と大きく引き離して首位となるという。こうした実績を積み上げてきた強みとして、同社は幅広いセンサー製品群や、詳細なテクニカルサポート、迅速に対応の柔軟性、10億個あたりの欠陥数で測る高い品質と信頼性、そして幅広いパートナーエコシステムなどを挙げている。
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