東北大学らの研究グループは、磁性強誘電体において「熱の整流効果」を初めて観測した。この性質を用いると、電場や磁場によって熱が通りやすい方向を自在に切り替えることが可能となる。
東北大学金属材料研究所の小野瀬佳文教授や東京大学大学院総合文化研究科大学院生で東北大特別研究学生の廣金優二氏(現在は日立金属)らによる研究グループは2020年9月、磁性強誘電体において「熱の整流効果」を初めて観測したと発表した。この性質を用いると、電場や磁場によって熱が通りやすい方向を自在に切り替えることが可能となる。
熱の整流効果はこれまで、2つの物質が接合する界面などで観測されていた。一様な物質で観測されたのは今回が初めてという。具体的には、マルチフェロイクスと呼ばれる磁性強誘電体「TbMnO3」において、電気分極(電気双極子の平均)と磁化(磁気モーメントの平均)が垂直の状態にあるとき、両方に垂直方向で熱の流れが現れることを観測した。
こうした熱流の整流効果は、電気分極や磁化の符号に依存しているという。例えば、電場を印加して電気分極を反転すると、熱流が通りやすい方向は逆になる。
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