ノキア(Nokia)は2020年10月12日、5G(第5世代移動通信)関連の動向をまとめたレポート「5G Business Readiness」で、5G関連の産業が2030年までに世界のGDPを8兆米ドル押し上げる可能性があると発表した。また、日本企業の5G導入が世界的に見て進んでいることも明らかになった。
ノキア(Nokia)は2020年10月12日、5G(第5世代移動通信)関連の動向をまとめたレポート「5G Business Readiness」で、5G関連の産業が2030年までに世界のGDPを8兆米ドル押し上げる可能性があると発表した。また、日本企業の5G導入が世界的に見て進んでいることも明らかになった。
同レポートはノキアとノキアベル研究所(Nokia Bell Labs)が発行したもの(調査はSapioが行った)。オーストラリア、フィンランド、ドイツ、日本、サウジアラビア、韓国、英国、米国の8カ国において、6つの産業部門*)の技術購入意思決定者1628人に対しアンケートを実施した。
*)6つの産業部門:エネルギー/公共インフラ、鉱業、製造業、公共部門、医療、運輸
5G Business Readinessでは、5Gの導入の状況や投資計画の他、5Gを使ったイノベーションなどに対する国別および産業分野別の評価結果が報告されている。導入状況(導入度)は、まだ検討していない「静観」から「調査」「計画」「導入」、そして既に導入し、より広範な業務への適用を目指す「拡張」まで5段階で評価されている。
レポートによると、日本企業の5G導入の割合は8%。導入度は、最も進んだ「拡張」段階と評価されており、サウジアラビアの13%、米国の12%、韓国の10%に続く4位となっている。ちなみにドイツは3%、フィンランドは2%、英国は4%だという。
日本企業の18%が5Gに投資しており、これは世界平均の15%を上回る。投資のトップは韓国で21%、2位が米国で20%、日本は3位だ。また、日本企業の50%以上が今後5年間に5Gの投資を計画している。
コロナ禍において、5Gを導入した企業の業績が、導入していない企業よりも好調だということも明らかになったという。世界的に見ると、5G導入企業の49%と半数近くが、まだ導入していない(計画自体がない、または計画段階にある)同業他社よりも急速に成長したとする。
さらに、5G導入の「拡張」段階に分類された企業だけが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックのさなかに生産性が10%増加したという結果も示された。ちなみに、他の段階にある企業の生産性は軒並み減少しており、「導入」段階の企業が3%減少、「計画」段階の企業が15%減少、そして「調査」段階の企業は40%減少しているという。ノキアはプレスリリースで、「5Gを導入した企業が、COVID-19に対してよりうまく対応できていることが分かった」と分析している。
現在、日本企業の49%が、COVID-19の影響でデジタル化を加速しており、41%の企業が「5Gが労働生産性の向上に対して最も望ましい影響を及ぼす」と回答している。
レポートでは日本における5G採用の障壁もまとめられている。それによると、日本での障壁は大きく5つあり、「都市の中心部以外では主要インフラの利用可能性が限られていること」「企業内の意思決定者が5Gについて十分に理解していないこと」「ビジネスにおいて5G導入よりも優先度の高い事項があること」「コストと複雑さに対する懸念」「セキュリティに対する懸念」が挙げられた。
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