富士経済は、2020年のパワー半導体世界市場について、2020年2月に発表した予測を一部下方修正した。前回予想に比べSi(シリコン)パワー半導体は大幅に縮小、次世代パワー半導体は伸び率が鈍化する見通しとなった。
富士経済は2020年10月、2020年のパワー半導体世界市場について、2020年2月に発表した予測を一部下方修正した。新型コロナウイルス感染症の影響を織り込み、あらためて市場を調査した。前回予想に比べSi(シリコン)パワー半導体は大幅に縮小、次世代パワー半導体は伸び率が鈍化する見通しとなった。
今回の調査は、Siパワー半導体やSiCパワー半導体、GaNパワー半導体、酸化ガリウムパワー半導体を対象としている。調査期間は2020年7〜8月で、専門調査員が関連企業へのヒアリングなどを行った。
Siパワー半導体で調査したのは、「パワーMOSFET」と「パワーモジュール」(IGBTモジュール、インテリジェントパワーモジュール)。これらは主に、自動車・電装分野や産業分野、民生機器分野などに採用されており、新型コロナの影響で需要が落ち込んだ。
2020年のパワーMOSFET市場は、2月予測で2019年に比べ3.9%の増加を見込んでいたが、今回の予測で8.5%減に下方修正した。5G通信などに向けたサーバ電源用は堅調に推移したが、自動車関連などの落ち込み分をカバーできなかったという。2021年以降は自動車・電装分野の需要回復を期待するが、2030年の市場予測も2月発表の1兆2060億円から、今回の予測で1兆960億円へと下方修正した。
2020年のパワーモジュール市場も同様に下方修正した。2月予測では2019年に比べ4.7%の増加を見込んでいた。今回の予測では8.2%減とした。2030年の市場予測は、2月予測の7080億円に対し、6140億円へ修正した。
次世代パワー半導体の世界市場は、「SiCパワー半導体」と「GaNパワー半導体」について公表した。SiCパワー半導体は、新型コロナの影響が一部用途に限定されたこともあって、伸び率は鈍化するが市場の拡大は続く。2020年見込みは今回の調査でも2019年比で13.1%の増加と予測した。2月予測に比べると伸び率で3.4ポイントの減少である。2030年の市場規模は1852億円と予測している。
GaNパワー半導体は、主にサンプル品の供給や製品評価の段階にあることから、新型コロナの影響はほとんどないとみている。2020年の市場見込みについても、2月予測の2019年比10.5%増を変更しなかった。
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