部門別の売り上げを見ていこう。WDは売り上げを3つの部門に分けて公表している。その3つとは、「データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)」部門、「クライアント用デバイス(Client Devices)」部門、「クライアント用ソリューション(Client Solutions)」部門である。
「データセンター用デバイス・ソリューション」部門には、エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなどが含まれる。同部門の売上高は前四半期比(前期比)33%減、前年同期比26%減の11億2900万米ドルである。エンタープライズ用大容量HDDとエンタープライズ用SSDの需要が大幅に縮小した。
「クライアント用デバイス」部門には、ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマーエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品などが含まれる。同部門の売上高は前四半期比(前期比)2%増、前年同期比20%増の19億4600万米ドルである。前四半期と同様に、オンライン学習やリモートワークなどに向けたクライアント用SSDの売り上げが好調だった。また、フラッシュメモリを内蔵する新世代テレビゲーム機器向けの需要が伸びた。
「クライアント用ソリューション」部門には、映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなどが含まれる。同部門の売上高は前四半期比(前期比)23%増、前年同期比5%減の8億4700万米ドルである。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によるロックダウンがとかれて販売店が営業を再開したことで、前期比の売り上げが伸びた。また、オンライン学習とリモートワークの増加がHDDとフラッシュストレージの店頭販売に寄与した。
WDは「フラッシュ応用品(NANDフラッシュメモリの応用製品)」と「HDD製品」の売上高や粗利益率(Non-GAAPベース)などの数値を公表してきた。2021会計年度第1四半期(2020年7月〜9月期)における「フラッシュ応用品」の売上高は前四半期比(前期比)7%減、前年同期比27%増の20億7800万米ドルである。粗利益率は26.4%。前の四半期と比べて4.1ポイント低下し、前年同期と比べて7.1ポイント上昇した。
フラッシュ応用品のビット換算の出荷容量は前の四半期と比べて1%増えた。記憶容量当たりの販売価格(GB単価)は、全製品(Blended)で前四半期から9%低下し、同一製品(Like-for-like)では前四半期から6%下降した。
HDD製品の売上高は前四半期比(前期比)10%減、前年同期比23%減の18億4400万米ドルである。粗利益率は26.2%で前の四半期と比べて1ポイント低下し、前年同期と比べて2.3ポイント下降した。
HDD製品の販売台数はクライアントコンピュート(PC)向けが930万台、ノンコンピュート(リテールおよびコンシューマー)向けが820万台、データセンター向けが550万台である。前の四半期に比べるとクライアントコンピュート向けが10万台減少し、ノンコンピュート向けが130万台増加した。データセンター向けは130万台減少した。HDD製品全体の販売台数は2310万台である。前の四半期に比べて10万台低下した。
HDD製品の平均販売価格(ASP)は79米ドルで、前の四半期に比べて8米ドル減と大きく下げた。HDD製品の総出荷記憶容量は前の四半期に比べて7%低下した。HDDの総出荷記憶容量は4四半期連続で前の四半期と比べて減少している。
(次回に続く)
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