COVID-19対策の実現に関しては、STの超低消費電力BLE SoC(System on Chip)「BlueNRG-2」を搭載した開発ボード「BlueNRG-Tile」によるソーシャルディスタンス確保ソリューションも提供している。
BlueNRG-2は、Arm Cortex-M0プロセッサと256KバイトのFlashメモリ、24KバイトのSRAMを搭載したBluetooth 5.2準拠のSoC。BlueNRG-Tileは、BlueNRG-2のほか、6軸モーションセンサー(3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサー)「LSM6DSO」やMEMSマイク、気圧センサー、温湿度センサー、地磁気センサー、ToFセンサーなどを搭載した直径2.5cmのコインサイズの開発ボードだ。
ソリューションの仕組みとしては、BLEビーコンのRSSI(受信信号強度)による位置測位で、近くのビーコンからの信号強度を測定してリアルタイムで測距、1.5mや2mなど設定した距離に応じてLED点灯などの動作をするというもの。
RSSIの強度はデバイスの傾きなどといった環境によって変化してしまうため精度について課題があるが、LSM6DSOによって同時に電波強度補正を行うことで測距精度を向上、「2〜3m程度の範囲のソーシャルディスタンス確保用途としては十分な精度を発揮する」としている。
スマホなどを介すことのないデバイス同士の通信によるシステムが構築でき、接触履歴の記録も匿名のIDで管理可能なことから、個人情報に関する懸念も不要となる。また、同社のサブギガ帯RFトランシーバーICと組み合わせることでSigfoxによるクラウド連携も可能だ。説明担当者は、「こうしたアプリケーションを迅速に開発し市場投入したいという顧客に適している」と語っていた。
既に複数の企業がBlueNRG-Tileを活用したソリューションを提供しており、日本でも電機メーカーからの引き合いがあるという。同社は今回、フランスInocessによる製品「Nextent TAG」などを紹介していた。
Nextent TAGでは、周囲に別のデバイスがない通常時はLEDが青色に点灯してるが、別のデバイスと距離が近づくのを確認するとLEDがオレンジ色に変化するとともに振動で「事前警告状態」であることをユーザーに通知、さらに距離が近づくとLEDが赤色に変化するとともにブザーで「警告状態」であることを通知するという仕組みだ。
STは、このソーシャルディスタンスソリューションのソフトウェア開発キットを提供中だ。
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