4個カスケードしたTEF82xxとS32R45で構成した4Dイメージングレーダーは、センシング範囲が300mを超え、高分解能のポイントクラウド(点群)を提供する。4個カスケードすることで192チャンネルの仮想アンテナを生成(送信3×4=12チャンネル、受信4×4=16チャンネルなので、12×16=192チャンネル)することで、角度分解能を1度未満にできる。これらの特長により、クルマや人、カラーコーンなどの小さな物体を認識、分類できるようになり、高精度の環境マッピングや状況認識が可能になる。
2個カスケードしたTEF82xxとS32R294で構成するフロントレーダーは、3dBに強化したリンクバジェットにより、300mを超えるセンシング範囲をサポートする。TEF82xxのカスケードに加え、位相ノイズが6dB向上していることで、遠方にある物体の識別能力が強化される。園田氏は「これまでフロントレーダーには、SiGe(シリコンゲルマニウム)が用いられてきた。高い出力が必要なことを考えると、CMOSでは厳しかったからだ。だがTEF82xxによって、CMOSでも高出力をサポートできるようになった」と説明した。
コーナーレーダーについても、コストを重視するNCAP対応コーナーレーダーから、もう少し高性能なレーダーまで、TEF82xxとS32R294で構成可能だ。2個カスケードすることで48チャンネルの仮想アンテナを生成([送信3×2]×[受信4×2])し、最大4倍の分解能を実現する。
NXPは、今回発表した製品に対応する開発環境と、開発を迅速かつ容易にする車載品質レーダーSDK(ソフトウェア開発キット)もそろえる。
NXPによれば、現在、自働車メーカーとティア1サプライヤー計15社が、今回発表した3製品のいずれかについて評価中だという。量産開始は2021年を予定している。
自動運転のレベルの向上に伴い、クルマ1台当たりに搭載されるレーダーも増えていく。園田氏は「2020年時点では1台当たりに1個だが、2025年までには2個、将来的には5個以上と予測されている。コーナーレーダーが4個、フロントレーダー、イメージングレーダーなども含めると10個以上になるとも想定されている」と述べ、レーダーが成長市場であることを示した。
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