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» 2021年01月29日 15時30分 公開

5nmプロセッサで双璧を成すApple「A14」とHuawei「Kirin 9000」製品分解で探るアジアの新トレンド(49)(3/3 ページ)

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]
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集積密度は「Kirin 9000」が「A14 BIONIC」に勝る

 図6は2020年10月に5nm製造プロセスを用いて発売されたApple A14 BIONICとHuawei/HiSiliconのKirin 9000のチップを比較したものだ。チップサイズなどの詳細は割愛させていただく(詳細はテカナリエレポート)。

図6:Appleの「A14 BIONIC」とKirin 9000を比較する 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 両チップとも搭載している総トランジスタ数が公表されているが、それによるとA14 BIONICは118億個で、Kirin 9000は153億個である。回路規模はKirin 9000が30%ほど大きい。この数字は、まさに5Gのベースバンド(モデム)の差であると思われる(根拠数字はあるが省略)。モデムを除いた回路規模はほぼ同等だ。そのため、A14 BIONICとKirin 9000のアプリケーションプロセッサは、回路規模では、現時点では双璧を成していると判断してよいだろう。

 総トランジスタ数をチップ面積で割ったものが、単位面積(例えば1mm2)当たりの集積密度だ。同じ5nmを使う2つのプロセッサであるが、2社の集積密度には8%もの差がある。A14 BIONICに比べ、Kirin 9000の方が集積密度が高い。インプリメント力の差はメーカー間で大きいが、5nmでも大きな差が存在していることも明確になった。

 表1(一部省略あり)は、Huawei/HiSiliconのプロセッサKirinを、チップ開封情報も踏まえてまとめたものである。弊社は全てのKirinチップを開封し、解析した情報を所有している。

表1:「Kirin」シリーズの変遷 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 2009年にデビューしたKirinはその後、ほぼ毎年進化を続けてきた。米中問題によって、今後しばらくの間、Kirinの進化を見られなくなってしまうとしたら、単純に技術者として寂しい。HuaweiやHiSiliconは技術面で常にトップであり、驚きを見せてくれてきたからだ。Huawei/HiSiliconには、これからも輝きのある技術を見せ続けてもらいたい。

 なお、Mate 40 Proには「謎チップは一つも存在しなかった」ことを付け加えておく。


執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年にわたる半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


⇒「製品分解で探るアジアの新トレンド」連載バックナンバー

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