村田製作所は、2020年度通期(2020年4月〜2021年3月)の連結業績見通しを上方修正した。前回予想に対し、売上高は800億円増額の1兆5700億円、営業利益は400億円増額の2900億円を、それぞれ見込む。営業利益は過去最高を更新するという。
村田製作所は2021年1月29日、2021年3月期第3四半期の連結業績(2020年4〜12月)を発表した。この中で、通期(2020年4月〜2021年3月)の連結業績見通しについては、前回(2020年10月末)公表した予想額に対し、売上高を800億円増額の1兆5700億円へ、営業利益を400億円増額し2900億円へ、それぞれ上方修正した。営業利益は過去最高を更新するという。
2021年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期に比べて4.2%増の1兆2206億5300万円となった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大などから、同第1四半期(4〜6月)は景気が大きく悪化したものの、同第2四半期(7〜9月)以降はその幅が縮小しているという。
こうした中で同社は、PC関連やゲーム機向けの部品需要が好調に推移した。第2四半期以降は5G(第5世代移動通信)対応スマートフォン向けの需要も立ち上がった。このため、主力製品の積層セラミックコンデンサーや高周波モジュールなどの売上高が増加した。
利益についても、価格ダウンや為替の変動といったマイナス要因はあったが、操業率の向上や製造コストの低減などが収益増に貢献した。この結果、営業利益は前年同期に比べ19.4%増の2399億900万円になった。
同第3四半期(10〜12月)における受注高は5363億9700万円で、前年同期に比べて29.8%の増加である。2020年12月末の受注残高は3270億600万円で、2020年3月末に比べ36.2%増え、金額ベースで868億5000万円の増加になった。
連結業績(2020年4〜12月)を製品別にみると、コンデンサーが前年同期比8.7%増の4578億4800万円となった。自動車向けが減少する中でPCやスマートフォン向けが増加した。その他コンポーネントは同0.7%増の2856億6000万円である。スマートフォン向けリチウムイオン二次電池の売上高が減少したが、PC向けのインダクターやスマートフォン向けコネクターの売上高が増加した。圧電製品は自動車向けの減少により、同4.3%減の927億3500万円。この結果、コンポーネント合計で同4.3%増の8362億4300万円となった。
一方、コネクティビティモジュールや高周波モジュール、樹脂多層基板、電源モジュール、多層デバイスといったモジュール製品は、売上高が同4.4%増の3824億8800万円となった。スマートフォン向け樹脂多層基板の需要が減少する中で、高周波モジュールが大きく伸びた。
通期(2020年4月〜2021年3月)の連結業績についても、スマートフォンやPC関連、自動車向けの部品需要が、従来の想定を大きく上回る見通しから、これまでの予想を見直し上方修正した。修正後の予想は前年度に比べ売上高が2.3%増、営業利益は14.5%増を見込む。なお、設備投資額は2000億円を予定している。
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