キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は2021年3月16日、教育機関での実験や小規模のR&Dをターゲットとするエントリーレベルのベンチトップ型計測器シリーズ「Smart Bench Essentials(SBE)」を発表した。帯域50MHzのオシロスコープ、5.5桁のDMM(デジタルマルチメーター)、3出力のDC電源、23種類の波形を生成可能なファンクションジェネレーターという4種類の計測器と、ソフトウェア「PathWave BenchVue」で構成されている。
キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は2021年3月16日、教育機関での実験や小規模のR&Dをターゲットとするエントリーレベルのベンチトップ型計測器シリーズ「Smart Bench Essentials(SBE)」を発表した。帯域50MHzのオシロスコープ、5.5桁のDMM(デジタルマルチメーター)、3出力のDC電源、23種類の波形を生成可能なファンクションジェネレーターという4種類の計測器と、ソフトウェア「PathWave BenchVue」で構成されている。
SBEシリーズのコンセプトは「つながること」だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、計測やテストの世界でも、リモートに対するニーズが強まっていることが背景にある。キーサイトは、「互いの機器がつながる、リモートでつながる、クラウドベースでつながるといったように、“つながること”を重視したシリーズとなっている」と述べる。
上記4種類の計測器は共通のGUI(Graphical User Interface)を搭載しており、PathWave BenchVueをインストールしたPCが1台あれば、4種類全ての構成、制御、監視が可能となっている。
いずれの計測器もUSBポートとLANポートを備えていて、実験のセッティングさえしておけば、場所と時間を問わず、リモートで測定器とデータにアクセスできる。データの解析と共有も可能だ。テストのセットアップからデータ収集、レポート作成までの作業を自動化することもできる。
そのためにソフトウェアも強化した。標準搭載されている「BV0001B/2B/3B/4B PathWave Instruments Apps」によって、機器のセットアップや、データのログおよび画面のキャプチャーなどを行える。有償のオプションとして、ラボ全体の測定器構成やファームウェアのマスアップデート、資産の一元管理を行う「PW9111EDU PathWave Lab Manager」と、リモートアクセスと認証管理、ラボのスケジュールとリソース予約などを行えるようになる「PW9112EDU PathWave Remote Learning」の2つが用意されている。PathWave Remote Learningは、ラボや大学内の特定のPCに接続されている全ての機器に対応可能だ。
なお、PathWave Lab Manager/Remote Learningは、PathWave BenchVueがサポートしている製品であれば、SBEシリーズ以外(例えばオシロスコープ「DSOX1000シリーズ」など)でも使用できる。
SBEシリーズのオシロスコープ「EDUX1052A/EDUX1052G」は、キーサイトの既存の「1000-Xシリーズ」の一つ。7型カラーディスプレイを搭載し、サンプリング速度は最大2Gサンプル/秒、メモリ長は最大2Mポイント。EDUX1052Gには波形発生器が内蔵されていて、周波数を印加してその応答を見る周波数応答解析が行える。参考価格はEDUX1052Aが6万6915円で、EDUX1052Gが9万3397円。
5.5桁DMM「EDU34450A」は、11種類の入力信号の測定が可能。DC電圧の基本確度は0.015%だ。一般にDMMは奥行きがかなり長いが、ECU34450Aは、他の3つの機器とのスタックなども意識して、かなり薄型になっている。参考価格は9万388円。
電源「EDU36311A」は、3つの独立した電源チャンネルを持つ。低出力リップルや低ノイズが特長だ。参考価格は10万7123円。
ファンクションジェネレーターは、1チャンネルの「EDU33211A」と2チャンネルの「EDU33212A」がある。帯域幅20MHz。低ノイズ、低ひずみを特長とする。参考価格は1チャンネル品が9万5085円、2チャンネル品が11万5789円。
なお、別売りのスタッキングキットを購入すれば、測定器を安全に積み重ねて省スペース化を図ることができる。ソフトウェアについては、PathWave Lab Managerが18万4338円、PathWave Remote Learningが196万3500円(いずれも12カ月のフローティングライセンスの参考価格)。
SBEシリーズには、24時間、年中無休でテクニカルサポートが受けられる「KeysightCare」も含まれている。
キーサイトはここ数年、エントリーモデルの強化に力を入れてきた。SBEシリーズのハードウェア(測定器)も、ハイエンドモデルの機能をエントリーレベルの価格帯に搭載していることが、もう一つの特長だ。同時にキーサイトは、学生やエンジニアに向けた計測機器/計測技術の教育にも注力している。今回のSBEシリーズの開発も、そうした取り組みの一環となっている。
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