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IPOを目指す、米国の専業ファウンドリーSkyWater2017年にCypressの工場を買収

米国ミネソタ州の専業ファウンドリーであるSkyWater Technologyは、株式公開を目指す米国のテクノロジー企業である。SkyWaterは2021年3月、米国証券取引委員会(SEC)に株式の新規公開を申請した。

» 2021年04月06日 09時30分 公開
[George LeopoldEE Times]

 米国ミネソタ州の専業ファウンドリーであるSkyWater Technology(以下、SkyWater)は、株式公開を目指す米国のテクノロジー企業である。

 SkyWaterは2021年3月、米国証券取引委員会(SEC)に株式の新規公開を申請するとともに、ON Semiconductorの元幹部であるJohn Spicer氏を業務担当エグゼクティブバイスプレジデントとして迎えたと発表した。

 また、同社は2021年3月初旬に、Steven Kosier氏を新しいCTO(最高技術責任者)に任命した。Kosier氏は、米国の半導体製造企業であるPolar Semiconductorの研究開発担当バイスプレジデントや米Vanderbilt University(ヴァンダービルト大学)の電気工学非常勤教授を務めた経歴を持つ。

 Spicer氏とKosier氏は、ここ数カ月でSkyWaterに移籍した最も新しい幹部だ。同社は2020年6月に、GLOBALFOUNDRIESの元幹部であるJohn Kent氏を技術開発およびIC設計業務の責任者に迎えている。同氏が採用されたのは、SkyWaterとGLOBALFOUNDRIESの両社が、米軍が信頼する半導体製造企業として協力することで合意した時期と重なる。

 ブルーミントン(Bloomington)を拠点とするSkyWaterは2021年3月22日遅くに、米国の金融規制当局に、ナスダック証券取引所においてティッカーシンボル(証券コード)「SKYT」で株式を発行する意向であるという通知を提出した。SkyWaterの主要株主は、ミネソタ州セントルイスパークの投資会社であるOxbow Industriesである。

 SkyWaterは、証券取引委員会(SEC)が登録届出書の審査を完了した後に新規株式公開(IPO)を開始すること以外は明らかにしていない。同社のスポークスマンは、「登録届出書の内容以上のことは言えない」としている。

 SkyWaterがSECに提出した書類によると、同社の2020年の売上高は2.7%増となる1億4040万米ドルだったという。成長をけん引したのは、量子コンピューティングや超伝導分野の顧客からの需要だった。一方、航空宇宙および軍事事業の拡大は、Cypress Semiconductor(Infineon Technologiesが買収)へのウエハーサービスの販売が減少したことで相殺された。なお、Cypress Semiconductorは2017年に、200mmウエハーラインの工場をSkyWaterに売却している。

 SkyWaterによると、Cypress SemiconductorおよびInfineon Technologies向けのウエハーサービスは、2021年1月時点で同社の売上高の約29%を占めているという。

 SECへの提出書類によると、SkyWaterの純損失は過去1年間で約330万米ドル増加し、1970万米ドルになった。

 SkyWaterは株式公開の申請にあたり、規制当局に対し、米国で信頼されているファウンドリー(trusted foundry)としての地位と先進的なパッケージングの専業ファウンドリサービスを強化すると述べたという。先進の半導体パッケージング技術は、米国上院での資金調達に向けて動いている半導体製造法の重要な要素になっている。

 目論見書によると、SkyWaterは、国防総省が資金提供している耐放射線性生産ラインで2021年に量産を開始し、耐放射線性半導体事業の拡大を目指すという。さらに、米MIT(マサチューセッツ工科大学)および米スタンフォード大学と協力し、カーボンナノチューブ技術をマイクロエレクトロニクスに応用する研究も進める。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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