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新合成法でペロブスカイト型酸水素化物半導体開発H-含有で長波長の可視光を吸収

九州大学と東京工業大学、名古屋大学の研究グループは、長波長の可視光に応答するスズ含有ペロブスカイト型酸水素化物半導体を合成することに成功した。安価な鉛フリー光吸収材料を合成するための新たな手法として期待される。

» 2021年05月14日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

鉛を含まない安価な光吸収材料開発に期待

 九州大学と東京工業大学、名古屋大学の研究グループは2021年5月、長波長の可視光に応答するスズ含有ペロブスカイト型酸水素化物半導体を合成することに成功したと発表した。安価な鉛フリー光吸収材料を合成するための新たな手法として期待される。

 研究グループは今回、ペロブスカイト型スズ酸バリウム(BaSnO3)をホスト材料として用いた。ペロブスカイト型BaSnO3は、電子伝導性に優れるものの、本来は可視光を吸収しない材料である。

 そこで研究グループは、BaSnO3に対し、酸素欠陥をあらかじめ導入した上でヒドリド(H-)を添加した。これにより、結晶内のSn4+は一部がSn2+に還元されるという。新たな合成手法を用いることで構造は安定し、バンド構造の制御が可能になり、約600nmまでの可視光を吸収できるようになった。

 なお、ペロブスカイト型BaSnO3粉末はH-を添加していないと白色だが、H-添加品は赤茶色になるという。

合成したスズ含有ペロブスカイト型酸水素化物半導体の分子立体モデルと吸収特性 (クリックで拡大) 出典:九州大学他

 今回の研究成果は、九州大学工学研究院応用化学部門の林克郎教授、赤松寛文准教授、中央分析センターの稲田幹准教授、工学府応用化学専攻の渡辺寛大学院生(当時)、東京工業大学の前田和彦准教授、八島正知教授、藤井孝太郎助教、中村将志大学院生および、名古屋大学の長谷川丈二特任准教授らによるものである。

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