リコーは、屋内や日陰などの照度域でも、効率よく発電できる「フレキシブル環境発電デバイス」のサンプル出荷を9月から始める。センサーなどの自立型電源として用いれば、充電や電池交換などの作業が不要になる。
リコーは2021年8月、屋内や日陰などの照度域でも、効率よく発電できる「フレキシブル環境発電デバイス」のサンプル出荷を9月から始めると発表した。センサーなどの自立型電源として用いれば、充電や電池交換などの作業が不要になる。
開発したフレキシブル環境発電デバイスは、九州大学の安田研究室とリコーが2013年より共同研究/開発してきた発電材料を採用した。光電変換層(P型有機半導体)の分子構造や材料組成などを精密に制御することで、約200lxの低照度から約1万lxの中照度まで、照射光量に応じて高い光電変換効率を実現している。有機デバイスの設計でも、中間層(バッファ層)材料の最適化などにより、効率と耐久性を改善したという。
この他、10万lxという高照度環境における試験でも高い出力を維持するなど、優れた耐久性を実現。また、特異な層構造によってセルの一部が日陰になっても急激な出力低下はないという。
大きさが41×47mmのフレキシブル環境発電デバイスを試作し、その特性を評価した。使用環境が低照度(200lx)の場合、最大出力(Pmax)は84μW(最小値)、中照度(1万lx)だと、最大出力(Pmax)は4200μW(最小値)となった。
リコーは、2020年から屋内向け固体型色素増感太陽電池(DSSC)の供給を始めた。そして今回、有機薄膜太陽電池(OPV)のサンプル出荷を開始した。さらに、屋外や宇宙用途に向けたペロブスカイト太陽電池の開発にも取り組んでいるという。
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