リコーは、有機デバイスの機能を保ちながら、耐久性を大幅に向上させることができる「セラミックコーティング技術」を開発した。
リコーは2020年12月、有機デバイスの機能を保ちながら、耐久性を大幅に向上させることができる「セラミックコーティング技術」を開発したと発表した。
有機ELや電子ペーパー、有機薄膜センサー、有機太陽電池など、さまざまな有機デバイスが登場している。有機分子を組み合わせることで、多様な機能を実現できる半面、無機デバイスに比べると強度が弱いなど課題もあった。
そこで同社は、これまで培ってきた半導体材料技術と薄膜生産技術を活用し、有機デバイス上に電荷輸送性中間層塗料と透明導電性セラミック粉体を、常温でコーティングする技術を開発した。有機デバイス表面には事前に、独自の電荷輸送性中間層を塗布する。これは、有機デバイスの表面を保護し、セラミック粉体の密着性を高めるためである。
そして「エアロゾルデポジッション法」と呼ばれる手法を用い、透明で導電性を持ったセラミックの微細粉末を、常温で固体のままデバイス表面に衝突させる。直径が100mm、長さ380mmという広い面積でも、セラミック膜を均一に形成できるという。成膜の工程ではセラミック粉体の組成やサイズ、噴射条件などを最適化した。
開発したセラミックコーティング技術を用いると、ダイヤモンドと同じ結晶構造を持ったDLC(Diamond like Carbon)コーティングと同等かそれ以上の、極めて高い強度を実現することができるという。
開発した技術を、同社の電子写真用感光体に適用して摩耗試験を行った。この結果、一般的な有機感光体に比べ約35倍、高耐久樹脂膜を用いた感光体と比べても約10倍の強度が得られることを確認した。なお、セラミックコーティングに用いる電荷輸送性中間層と透明導電性セラミック粉体は、目的に応じて調合を変えれば、さまざまな有機デバイスに対応することが可能である。
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