エネルギーハーベスティング技術を手掛けるIoT(モノのインターネット)スタートアップWiliotは、2021年10月頃に、自己発電型の超小型チップセットの第2バージョンを発表する予定だという。
エネルギーハーベスティング(環境発電)技術を手掛けるIoT(モノのインターネット)スタートアップWiliotは、2021年10月頃に、自己発電型の超小型チップセットの第2バージョンを発表する予定だという。
同社のマーケティング部門担当シニアバイスプレジデントを務めるSteve Statler氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「切手サイズの次世代チップは、単にBluetooth電波からエネルギーを得るという枠を超えて進化を遂げる。第2バージョンでは、他の周波数帯からもエネルギーを得ることが可能だ」と述べている。
同社は、新型チップがどの無線帯域からエネルギーを得るのかという点については、詳細を明かさなかった。かつて、他のエネルギーハーベスティング企業は、868MHz帯や915MHz帯、5.8GHz帯などのアンライセンス周波数帯を使用していた。
Statler氏は、「われわれは既に、最初のチップセットで、非常に弱いBluetooth信号からのエネルギー取得を実現した。微弱な信号を利用できるという点で、当社は非常にユニークだといえる。Wiliot製ハーベスターの受信感度は、−35dBmだ。エネルギーハーベスティングや低消費電力コンピューティングの分野では通常、太陽光エネルギーのように、非常に強いパワーを持つエネルギー源が重要視される傾向にある」と述べる。
また同氏は、「Wiliot製チップの最初のバージョンである3コアのArmプロセッサは、2.4GHz帯のBluetoothの電波からエネルギーを取得する。このチップは、位置や温度、近接性などを感知し、そのデータをクラウドに送信することが可能な、薄くフレキシブルでバッテリーフリーのBluetoothステッカーなどに用いられる」と述べている。
「Williotは、今回次世代バージョンの製品を発表することにより、対応範囲を拡大していく考えだ。既存バージョンは、数メートルの距離からエネルギーを取得していた」(Statler氏)
さらに同氏は、「価格が数千米ドルもするデバイスではなく、スマートスピーカーのように価格が数十米ドル程度という低コストのさまざまな無線デバイスを電源として使用することにより、次の設計バージョンを実現していく考えだ」と述べる。
Statler氏は、2021年7月に行われた最新の投資ラウンドにおいて資金を獲得したことについて、「当社は、これまでに関与してきた最初の約30種類の大規模ブランドの枠を超えるべく、宇宙やツール、人々を対象として投資を行っている。そしてそれが、顧客に良い結果をもたらしている」と述べている。具体的な顧客名については明かさず、「医薬品やファッション、食品などの業界で、リーダー的地位を確立している企業だ」と述べるにとどめた。
Williotは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)が主導したシリーズCの投資ラウンドにおいて、2億米ドルを調達した。既存の投資企業としては、Amazon Web Services(AWS)やNTTドコモベンチャーズ、Qualcomm Ventures、Samsung Venture Investment、Verizon Venturesなどが名を連ねる。Williotがこれまでに獲得した資金は、合計で2億6900万米ドルに達するという。
Wiliotは、CEO(最高経営責任者)のTal Tamir氏によって2017年に設立された。Wiliotの研究開発部門はイスラエルにあり、事業開発部門は米国サンディエゴにある。Tamir氏は以前、ミリ波(60GHz帯)のギガビットワイヤレス企業であるWilocityのCEOを務めていたが、同社は2014年7月、Qualcommに3億米ドルで買収された。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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