Siemens EDAの日本法人であるシーメンスEDAジャパンと、Armの日本法人であるアームは2021年11月9日、オンライン説明会を開催し、IoT(モノのインターネット)向けSoC(System on Chip)開発/検証環境を共同で提供すると発表した。
Siemens EDAの日本法人であるシーメンスEDAジャパンと、Armの日本法人であるアームは2021年11月9日、オンライン説明会を開催し、IoT(モノのインターネット)向けSoC(System on Chip)開発/検証環境を共同で提供すると発表した。ArmのIP(Intellectual Property)をFPGAプロトタイピングボードに実装して提供するので、SoCの開発を即座にスタートできることが特長だ。IoTエッジデバイス向けのマイコンから、カスタムのAI(人工知能) IPを搭載した複雑で大規模なSoCまで、スケーラブルに対応できる。
共同で提供するSoC開発/検証環境は、Armの「AFA(Arm Flexible Access)」と、Siemens EDAのFPGAプロトタイピングボード「Veloce proFPGA」を組み合わせたものとなる。
AFAは、Armの設計IPをより低コストで柔軟に使用できるプログラムだ。年会費を支払えば、SoCのIPと開発ツール、サポート、トレーニングを利用できる。ライセンス料を支払う前に、Arm IPを評価できたり、IP使用時の製造ライセンスに関する制約が少なかったりといった利点がある。アームの営業部 OEMセールスディレクターを務める後藤努氏によれば、「日本では2021年4月以降、大手機器メーカーやティア1サプライヤーなど約10社が利用を開始した」という。グローバルでは利用企業数が100社に迫る。
Veloce proFPGAは、Xilinxの「Virtex UltraScale+ VU19P」またはIntelの「Stratix 10 GX10M」を搭載するプロトタイピングボード。検証する対象の規模に合わせて、最小1個、最大で20個のFPGAを接続できる。シーメンスEDAジャパン テクニカルソリューション営業部 AEマネージャを務める神成明宏氏は、「8億ゲート超の設計規模に対応することが可能だ」と説明する。
今回、AFAとVeloce proFPGAを組み合わせることで、「ArmのIP、ツール、サポート、トレーニングを含め、テープアウト前の設計および検証に必要な全てを提供できる」と神成氏は説明する。
AFAもVeloce proFPGAも既存品であり、アームもシーメンスEDAジャパンもそれぞれの製品をプロモーションしてきたが、アーム側はより多様なボードを、シーメンスEDAジャパン側は“IP搭載済み”を求められることが多かったという。「Veloce proFPGAの提供開始以来、すぐに設計を始めたいので、評価環境だけでなく、“中身”、つまりIPと一緒に提供してほしいという要求があった」と神成氏は説明する。一方のアームも、「Armでも評価ボードは用意しているが、種類が限られていて選択肢が少ない。Siemens EDAは多数のボードをそろえているので、今回共同で提供するに至った」(後藤氏)と述べる。
今回のソリューションは、まずはIoTエッジデバイスやエッジコンピューティングを対象分野とし、その後、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転といった、より複雑で大規模なSoCが必要なアプリケーションへと適用範囲を広げていく。
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