始めは2個の「InFO」構造を積層する「InFO_SoIS(System on Integrated Substrate)」技術の概要を説明しよう。講演スライドが示した「InFO_SoIS」パッケージは、以下のような構造となっている。まず、再配線層(RDL)の上にSoC(System on a Chip)ダイとI/Oダイを搭載してあり、RDLによって信号線と電源線を下部に引き出す。この構造を「InFO1」と呼ぶ。下部に引き出した信号線と電源線は、マイクロバンプを通じて多層配線の樹脂基板(RDL)につながる。多層の樹脂基板の底部には、信号線と電源線を外部に引き出すバンプがInFO1よりも広いピッチでレイアウトされている。この構造を「InFO2」と呼ぶ。また樹脂基板の周縁部には反り防止用のリング(Stiffener Ring)を取り付けてある。
「InFO_SoIS」の構造図(左)と試作例(右)[クリックで拡大] 出所:TSMC(Hot Chips 33の講演「TSMC packaging technologies for chiplets and 3D」のスライドから)
「InFO_SoIS」のミリ波帯域における挿入損失。従来の樹脂基板(GL102)と比較した。左下の表は28GHzおよび50GHzの相対値(従来基板を1.0としたもの)、右下のグラフは挿入損失の周波数特性[クリックで拡大] 出所:TSMC(Hot Chips 33の講演「TSMC packaging technologies for chiplets and 3D」のスライドから)
欧州が欧州半導体法「European Chips Act」の策定へ
欧州委員会委員長であるUrsula von der Leyen氏が2021年9月15日(現地時間)、一般教書演説の中で、「European Chips Act(欧州半導体法)」の策定に関する発表を行った。中国政府が半導体イノベーションに数十億米ドル規模の資金を投じていることや、米国議会が半導体の戦略的価値について合意に達したことなどを受け、EUは、主体的な最先端技術の実現を目指す法案を策定し、競争に参入していく考えを表明した。