後工程/パッケージに関わるプレーヤー、意思決定者および、モノの流れは、複雑だ。図11を用いて、Intelのサーバ用プロセッサを例にとり、順に説明しよう。
なお、後工程プロセスはOSATが行う場合もあれば、Intel社内で行う場合もある。以下では、話をシンプルにするために、OSATが後工程を行うと仮定する。
(1)まず、Intelが、どの基板にチップを乗せるか、その基板材料に何を使うかを決める。
(2)Intelに選定された、味の素ファインテクノや三菱ガス化学などの基板材料メーカーは、これまたIntelに選定されたイビデンや新光電気に、その基板材料を供給する。
(3)イビデンや新光電気は、Intelの要求仕様に従って有機基板を製造し、ASEやAmkorなどのOSATに、その基板を供給する。
(4)そのOSATでは、ディスコのダイサーなど各種後工程装置をそろえ、後工程用の材料を導入する。
(5)Intelが前工程を完了させたウエハをOSATに供給する。
(6)OSATは、後工程の各種装置や材料を使って、Intel向けの最終製品を製造する。
このようにして、最終製品となるIntelのサーバ用プロセッサが製造される。それでは、基板材料、基板、後工程材料、後工程装置における企業別シェアおよび日本シェアは、どうなっているだろうか?
図12に、各種の基板材料の企業別シェアを示す。ローエンド向けの汎用プリント回路基板(Printed Circuit Board、PCB)用銅箔積層板の日本シェアはほとんどなく、中国や台湾メーカーがシェアを占めている。
ところが、ハイエンド向けパッケージ用銅箔積層板の日本シェアは65%以上であり、パッケージ用ビルドアップ基板とパッケージ用ソルダーレジストにおいては何と日本が100%を独占している。
次に、図13に、世界の主な基板メーカーを示す。基板メーカーの多くがアジアに集中している。その中でも、日本のイビデンと新光電気は突出した技術を持っており、この2社がなければサーバ用プロセッサができない。要するに、イビデンと新光電気が唯一無二の存在になっている。
さらに、各種の後工程材料の企業別シェアを図14に示す。リードフレームでは、日本シェアは37%にとどまっている。しかし、封し材料のモールドで、日本は65%超のシェアを持つ。また、TSMCが米Appleの「iPhone」用に開発したInFO(Integrated Fan-Out WLP)など、FOWLP(Fan Out Wafer Level Packaging)用のモールド材では、日本が88%を独占している。加えて、アンダーフィル材の日本のシェアは92%と、これも独占状態にある。
最後に、各種の後工程装置の企業別シェアを図15に示す。ダイサーでは、日本が90%のシェアを独占している。ダイ・ボンディングの日本シェアは10%しかないが、モールディングで65%、テストで55%と、いずれも過半を超えている。
このように、基板材料、基板、後工程材料後および工程装置において、総じて日本シェアが高く、世界的に大きな競争力を持っていると言えよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.