日立パワーデバイスは2021年12月21日、鉄道車両や再生可能エネルギー発電システム向けに、耐圧1.7kVのフルSiCモジュールを開発したと発表した。同社の従来品に比べて、スイッチング損失を約30%低減したことが特長となる。
日立パワーデバイスは2021年12月21日、鉄道車両や再生可能エネルギー発電システム向けに、耐圧1.7kVのフルSiCモジュールを開発したと発表した。同社の従来品に比べて、スイッチング損失を約30%低減したことが特長となる。
同モジュールはSBD(ショットキーバリアダイオード)レスとなる。通常、SiC-SBDとSiC-MOSFETで構成されるモジュールを「フルSiCモジュール」と呼ぶことが多い。日立パワーデバイスによれば、今回の製品は、SBDは外付けだが、搭載されているMOSFETがSiCなので、「フルSiCモジュール」としている。モジュールのパッケージはnHPD2で、外形寸法は100×140mm。最大10nHと低いインダクタンスを実現する。
SiCモジュールの内部には、スイッチング時に発生する電気的振動を抑制するために、MOSFETのゲート電極に対して直列に、補助的なゲート抵抗を設けている。今回の開発品では、独自設計のゲート抵抗を採用し、振動を抑えて低ノイズを維持しつつ、変換時の損失を低減する改善を施した。これにより、スイッチング損失を従来比で約30%低減することに成功した。新しい設計のゲート抵抗は高温でも抵抗が増加しにくいという特性を備えているため、特に高温でのスイッチング速度を高めて、スイッチング損失の低減に貢献している。
インバーターに搭載した際の特性をシミュレーションしたところ、1)キャリア周波数1.5kHzで動作した際の温度上昇を、同社従来品に比べて約7℃低減、2)キャリア周波数4kHzにおける許容相電流が従来比で約12%増加、という結果が得られた。
チップ接合には、はんだよりも耐久性が高い、独自の焼結銅を用いている。日立パワーデバイスは「SiCチップの真下は、最も熱ストレスが強い場所になる。この部分に焼結銅を採用することで接合部の強度を上げ、モジュールの耐久性も向上している」と説明する。
新しいSiCモジュールは、電流定格が900A、1350A、1800Aの3種類をそろえる。2022年1月から順次サンプル提供を開始する予定だ。
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