図2に、2021年と2022年における世界のファウンドリーのテクノロジーノード別の月産キャパシティの増分を示す。2021年に5nmが月産70K増え、2022年に3nmが月産90K増えると予測されているが、これらのほとんどがTSMCの増加分であり、しかもその主要な用途は米Appleの「iPhone」用アプリケーションプロセッサ(AP)であろう。
図2:世界のファウンドリーのテクノロジーノード別月産キャパシティの増加分[クリックで拡大] 出所:Joanne Chiao(TrendFore),“Wafer Shortages Drives the General Growth of Foundry Capacity in 2022”,Memory Trend Summit 2022“の発表を基に筆者作成それ以外に目を向けると、2021年は55/65/90nmのレガシー半導体が月産80K増えている。そして、2022年は、22/28nmが月産75K増えると予測されている。ここで、ファウンドリーにとっては、22nmは28nmの改良品であり、基本的に28nmと同じである。
従って、上記の疑問は、「なぜ、2022年にファウンドリーで28nmのキャパシティが最も増えるのか?」と書き直すことができる。そして、この理由は3つある。
28nmの半導体には、次のユニークな特徴がある。
28/22nmと16/14nmの間には、性能も上がるがコストも上がるという、大きな壁がそびえ立っている。AppleのiPhoneやHigh Performance Computing用には、少々コストが上がってもSADPを駆使したFinFETを使う動機があるが、クルマを含めた多くの電子機器は、それほど高性能は必要としない。性能としては28nmで十分であり、むしろコストパフォーマンスに優れた28nmを積極的に使いたいのである。その結果、図3に示すように、多くの電子機器用の半導体が28nmに集中することになった。
図3:半導体のテクノロジーノードとトランジスタの構造(28nmに多くの電子機器用の半導体が集中している)[クリックで拡大] 出所:Joanne Chiao( TrendFore),“Wafer Shortages Drives the General Growth of Foundry Capacity in 2022”,Memory Trend Summit 2022“の発表を基に筆者作成28nm(改良品の22nmを含む)の半導体を数え上げたらきりがない。これら28nmの半導体の需要が、コロナ禍で急拡大した。そして、これら28nmは、ほとんどがファウンドリーへ生産委託されている。
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