シリコンフォトニクス技術で周波数人工次元を観測:CMOS技術でリング共振器を作製
横浜国立大学と東北大学、慶應義塾大学および、東京大学らの研究グループは、光集積プラットフォーム「シリコンフォトニクス」技術を用いて、「周波数人工次元」と呼ばれるトポロジカルフォトニクス関連の光学現象を観察することに成功した。
横浜国立大学と東北大学、慶應義塾大学および、東京大学らの研究グループは2022年1月、光集積プラットフォーム「シリコンフォトニクス」技術を用いて、「周波数人工次元」と呼ばれるトポロジカルフォトニクス関連の光学現象を観察することに初めて成功したと発表した。
研究グループは、CMOSプロセスを用いて光変調器を内蔵したリング共振器をチップ上に作製した。実験ではこの光変換器に高周波電圧を印加して変調を行い、光学的な振る舞いを観測した。
トポロジカルフォトニクスでは、素子の表面にのみ光が伝搬する。条件によって光は一方向だけに伝わったり、構造の一部が不完全でも光損失が生じなかったりするという。こうした特性を活用すると、安定性が極めて高いレーザーや、歩留まりが極めて高い生産なども可能になる。光集積回路内の不必要な光ノイズが減少し、大規模な光集積回路を実現できる可能性も高いという。
上図は人工次元フォトニクス素子の構造、下図はこれによって形成された周波数列 出所:横浜国立大学他
今回の研究成果は、横浜国立大学のArmandas Balcytis氏(現在はロイヤルメルボルン工科大学)と馬場俊彦教授、東北大学の小澤知己准教授、慶應義塾大学の太田泰友准教授および、東京大学の岩本敏教授らによるものである。
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