Texas Instrument(TI)の2021年第4四半期の業績は、当初の予測では売上高が44億米ドルとされていたが、実際の売上高は前年同期比19%増となる48億3000万米ドルになった。同社はその成長要因として、産業/自動車市場における強力な需要を挙げている。しかし、投資家たちが非常に強い関心を持っているのは、TIが300mmウエハー工場の生産量を迅速に拡大可能であるという点のようだ。
Texas Instrument(TI)の2021年第4四半期の業績は、当初の予測では売上高が44億米ドル、1株当たり利益が1.94米ドルとされていたが、実際の売上高は前年同期比19%増となる48億3000万米ドル、1株当たり利益は2.27米ドルという結果になった。同社はその成長要因として、産業/自動車市場における強力な需要を挙げている。
しかし、投資家たちが非常に強い関心を持っているのは、TIが300mmウエハー工場の生産量を迅速に拡大可能であるという点のようだ。
TIの経営幹部たちは、2022年1月25日(米国時間)に行った業績発表の場で、「今回、複数の市場において予想を上回る業績結果と売上高成長を実現することができたが、顧客企業からの強い注目を集めているのは、当社の新工場の生産能力だ。例えば、現在建設を進めている、米国テキサス州リチャードソンの『RFAB2』や、米国ユタ州リーハイ(Lehi)の『LFAB』などがある」と述べている。
TIのバイスプレジデントであり、投資家向け広報活動の責任者を務めるDave Paul氏は、「顧客企業と話し合う中で、当社が表明した生産能力のロードマップ拡大計画に、非常に高い関心が寄せられていることが分かった。例えば、300mmウエハー工場や、RFAB2、LFABをはじめ、最近建設予定を発表した、テキサス州シャーマンのマルチファブや、関連する組立検査設備の拡充などが挙げられる」と述べる。
TIのCFO(最高財務責任者)を務めるRafael Lizardi氏は、「RFAB2は、2022年第3四半期中に製造を開始する見込みだ。ユタ工場も、それに大きく後れを取ることなく、2023年第1四半期中には稼働を開始する。65nm/45nmのアナログおよび組み込みプロセッサの製造に注力していく考えだ」と述べている。
また同氏は、「それまでにLFABの建設費用は、四半期支出で7500万米ドルに達する見込みだ。われわれはこの設備投資によって、最終的には製造における競争上の優位性を強化できるようになる。シャーマン工場設備の300mmウエハー生産能力により、2035年まで成長を拡大し続けることが可能だ」と述べる。
TIは2021年10月、Micron Technologyがメモリ技術「3D XPoint」開発から撤退することを受け、Micronの米国ユタ工場を買収した。Micronによると、同社がユタ工場を売却する決断を下した背景には、3D XPointの大規模な商用化を成功させるために必要な、高額投資の継続を正当化する上で、十分な市場検証結果を得られなかったという点があるようだ。
TIは2021年11月に、シャーマンの300mmウエハー工場施設の建設予定を発表した。計4カ所に工場を建設するための費用として、300億米ドルを投じるという。
一部の投資家たちは、TIが工場建設に膨大な費用を投資していることに対して、「循環市場とされている半導体分野の需要がピークに達すると同時に、工場が稼働し始めることになるのではないか」との懸念を示している。TIが2021年第4四半期に投じた資金は、研究開発費が約16億米ドル、リストラ費用が5400万米ドル、事業費が7億9300万米ドルだったという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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