半導体パッケージングにおける主要な課題として再配線層がある。再配線層は、幅広いツールや長期の生産サイクル、複数のサプライヤー、材料の制限などを含む、22段階の複雑な製造プロセスが必要となる。Galliker氏は、「当社のプロセスでは、これをわずか2段階で完了できる」と主張している。「まず、われわれのプリント技術『NanoDrip』によるプリンティングを行い、次に、オーブン硬化を行う。これによって新規の生産にも即座に固定費で対応可能となり、同時に新材料を使うことで性能も向上する」と述べている。
Scronaのビジネスモデルは、研究機関、プリントヘッドメーカーのほか、半導体やディスプレイ向けのTier1装置ベンダーに、プリントヘッド技術のIP(Intellectual Property)を提供することを目的としている。Galliker氏は、「われわれのコアナレッジは、プリントヘッド技術のIPだ。顧客はこれを自社の機器に搭載することになる」と述べている。同社は現在、Silicon Austria Labs(SAL)とスイス連邦材料科学技術研究所と共同で、市場参入に向けた初期段階の取り組みを進めている。
Galliker氏は、「われわれの3Dプリント技術は、大量生産の製造業向けに投入することができる。われわれの目標は、1つのアプリケーションに集中することではない。パートナーやインテグレーターと協力して、さまざまな市場にこれを提供していく」と述べている。
Scronaは最初の量産用プリントヘッドを、約2年後に発売する予定だ。同社は、ディスプレイ市場、特にマイクロLEDとOLED(有機ELディスプレイ)がもう1つの主要なユーザーになると予想している。
同社の技術は従来のインクジェット技術に比べ、プリント解像度が100倍、噴射回数が10倍の高速プリントが可能だとしている。さらに、液滴が小さいため乾燥が速く、3Dプリントではナノメートル単位の膜厚制御が可能となっている。また、MEMSプリントヘッドはカスタマイズが可能で、動的にプログラムすることができる。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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