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» 2022年02月28日 11時30分 公開

定年がうっすら見えてきたエンジニアが突き付けられた「お金がない」という現実「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論(1)(7/8 ページ)

[江端智一,EE Times Japan]

“他のみんな”はどうしているのか

 さて、ちょっと寄り道しすぎました。話を元に戻します。

 もう一つ調べておきたいことがありました。それは、『他の人はどうしているのだろう?』です。

 私としては、できれば手を出したくない”投資”などに手を出すのですから、他の人の動向も知っておきたいです ―― というか、私がひどい目に遭っている時、同じようにひどい目に遭っている人がいると思えば、『気がラク』だからです。

 で、こちらのデータ(「証券投資に関する全国調査」(平成30年12月18日/日本証券業協会)から、私の興味のあることだけを引用させて頂きました。

 ほとんどの人は銀行の預貯金を使っていますが(まあ、当然でしょうか)、それと並行して、2割の人が、他の金融商品も取り扱っているようです。ちょっとググってみたのですが、株・投資信託の比率は、米国47%、欧州25%、日本16%という調査結果があるようです。

 次は、金融商品の購入目的です。

 やはり、老後資金と、不測の備えが圧倒的です、これらを、株式等に投資するというチャレンジャーもいるかもしれませんが、ちょっと我が国では想像しにくいです。

 次は、金融商品に貯金または投資している金額です。

 しかし、私には、この分布の理由がよく分からないのです。普通に考えれば、収入と連動していると思うのですが、これの相関関係を調べようと、我が国の所得分布と照らしてみたのですが、『これだ』と思える相関が導き出せませんでした(以下の図は、厚生労働省発表の「所得の分布状況」と、金融商品投資額を、ドローソフトで目視比較した時の様子です)

 ひと言で言えば、「100〜300万円の間に、集中しすぎている」ということです。この金額に、何かの意味があるのかもしれませんが、私は見抜けませんでした。老後資金としては少な過ぎるような気がします。まだ、「日本の年金制度」の信用は、十分機能しているのかなぁ、とかも考えていました(今後も検討を続けます)。

 最後は、金融商品を購入している目的です。

 「入出金の便利さ」「元本保証」からして、やはり、我が国では、銀行の普通口座の預金が一般的であることが推認できます。「利回り」や「値上り」を狙っている人も一定数はいますが、基本的には、元本割れの可能性の高い金融商品に対して、日本人が消極的であることが見てとれます。

 以上のことより、日本人の多くは上記のデータに現われるように、「老後の心配が最大の懸案」で、「”元本割れ”の可能性がある金融商品に対しては臆病である」、という、私のペルソナとほぼ同じ傾向が確認できました。

 『他の人はどうしているのだろう?』という観点で調べた結果からは、「何もしないのが一番いい」という結論に至りそうです。この連載、ちゃんと続けることができるのか、第1回の時点で、既に心配になってきました。



 では、今回の内容をまとめます。

【1】定年が近づいていることに気が付き、江端が慌てふためいている状況をリアルにお伝えし、それでも「定年制度がなぜ必要であるか」を、歯をくいしばって論じました。

【2】定年に伴って、「お金がない」という事実が現実として迫っている状況に、江端が困惑している状況もリアルにお伝えしました。そして、この「お金がない」という事実に対して、江端が今の生活水準を維持するためには、「勝負」に出なければならないことを論じて、この連載開始の動機となったことをお話しました。

【3】この連載に際して、私を取り巻く「お金」の状況を、

(1)他国と比較した日本国の絶望的な経済状況
(2)江端のお金に関する黒歴史と現在のマインド
(3)江端の”ブログ収入”の絶望的な状況、
(4)2022年4月から始まる、高校生向けの金融教育の概要、
(5)金融商品に関するアンケート結果、
の5つの観点を公私混同しながら、論じ、あるいは、分析しました。

【4】上記(4)については、教育を受けるティンーンエージャーたちにとっては、「自分」を使った将来シミュレーションを強いられる可能性があるということと、彼らが「絶対に得をする投資方法を伝授される訳ではない」ことを知って、まずは安心しました。また、(5)については、江端と同様に、多くの日本人が”投資”という勝負に出たくないと思っていることを、データを使って示しました。


 『どんなに目の前が真っ暗な状況であったとしても、一所懸命、必死に、真剣に、全力でやっていれば、どこかから助けの手が差しのべられたり、運よく状況が好転したりして―― 最後にはなんとかなる』

 これ、これまでの人生においておおむね外れたことがない、私の行動論でした。もちろん、例外はあります。

 例えば「英語」とか、あるいは「英語」とか、それ以外には「英語」とかがそうです*)

*)連載「「英語に愛されないエンジニア」のための新行動論

 そして、今回から開始した新連載における「定年」や「お金」の問題は、「英語」と同様に、この行動論の例外のようです。

 私は、これまでも、いろいろなこと(例えば、コラムとか特許とか技術開発とか)、どれも手を抜かず、一所懸命頑張ってきたという自負がありますが、この「定年」や「お金」については、助けの手が差しのべられる気配を1mmも感じられません。そして、「英語」と違って、こちらは本気で死活問題です。

 先月、母が急死し*)、喪主を努めてきたのですが、その通夜の席で、既に現役をリタイアした叔父と会話する機会を得て、この「定年」と「お金」の話をしました。

*)初回をひと月延期させて頂きました。申し訳ありませんでした。

 叔父は、リアイア後も、現在も地域の学校に職を得て、日々を元気に過しているようです。『うらやましい』の一言に尽きました。

江端:「どういう経緯で、そういう話(手が差しのべられる)がやってくるの?」

叔父:「うーん、まあ、そうだな。つまるところ人脈かなぁ」

 人脈 ―― それは、私にとって、絶望的に存在しないものの一つであり、そして、私自身、人脈を維持するために費やした労力は、絶無であると断言できるほどです。

 もし私に『真の友人』なるものがいたとすれば、こんな過激な論を展開するコラムの連載など、体を張って止めているだろうと思うのです ―― で、私は、そういう人間を『ありがたい』とは思わず、『煩わしい』と思う奴なのです。

 結論を申し上げましょう ―― 私に「人脈」というアセットはありません。

「真実は一つ!金(かね)だ!」

『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』 ―― 大きな目的を達するには、それに直接あたるより、周辺から攻めるのが良いという諺(ことわざ)で、恋愛でも良く語られます。

本命の彼女、彼氏から攻めるのではなく、友人、両親から、徐々に攻める方が良いという、恋愛戦略として語られますが ―― 嘘っぱちです。

他のことは知りませんが、こと恋愛に関しては ―― 『将を射んと欲すれば「将」を射よ』が正しい。

 ――筆者のブログより抜粋

 今回の「定年」「お金」の問題についても同じです。この問題を解決するために、「いままで以上に仕事を頑張って能力をアピールする」だの、「いきなり飲み会に出席するように努めて、交友関係の再構築に努める」だの ―― そのようなことは、無駄です。

 これ(お金)は、そういうアプローチが効果を発揮する性質の問題ではないのです。『金(かね)を得たいと欲すれば「金(かね)」を得よ』が正しい行動論です。

 まとめます。新連載のコンセプトは、この一言です。

 「真実は一つ!金(かね)だ!」(by ジェイムズ君(エロイカより愛を込めて))

 では、新連載、「「お金に愛されないエンジニア」のための新行動論」をよろしくお願いいたします。

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