モレックスは、「車載データセンター」に関する自動車アンケート調査の結果を発表した。これによると、回答者の94%が「デジタル技術によって、自動車アーキテクチャと運転体験に素晴らしい機会がもたらされる」と答えた。
モレックスは2022年3月、「車載データセンター」(Data Center on Wheels/主にコネクテッドカーなどを指す)に関する自動車アンケート調査の結果を発表した。これによると、回答者の94%が「デジタル技術によって、自動車アーキテクチャと運転体験に素晴らしい機会がもたらされる」と答えた。また、車載データセンターの実現には、ほぼ全員が「パートナーエコシステムのさらなる拡大が必要」と回答した。
今回の調査は、モレックスとマウザーがDimensional Researchに委託し、主要な自動車メーカーとそのサプライヤー(ティア1またはティア2の自動車部品サプライヤー、委託製造業者を含む)のエンジニアなど、519人を対象に行った。今回は「この分野に最も大きな影響を与えているデジタル技術は何か」や「高度な自動車アーキテクチャとシームレスな運転体験の展開を妨げる最も大きな障害は何か」などについて質問した。
回答者は、デジタル技術の進展により、5年以内に強化される自動車の新しい標準機能として、「モバイルアプリ経由のユーザーインタフェース」(回答率50%)や「映画/テレビのストリーミング」(47%)、「新/アドオン機能のリモート対応」(46%)、「主要機能におけるサブスクリプションモデルの価格設定」(46%)、「安全性と運転者支援」(45%)、「ソフトウェアの無線更新」(43%)などを上位に挙げた。
また、回答者の27%が、「10年以内に販売される新車の半数は、レベル4の自動運転に対応する」と答えた。さらに、回答者の18%は、レベル5のマイルストーンに達するまで最大30年かかるとみている。
過去5年間で自動車アーキテクチャと運転体験に最も影響を与えたこととして、回答者の45%が「車載コネクティビティ」を挙げた。データストレージシステム(43%)やクラウドコンピューティング(43%)がこれに続く。
今後5年間で大きく成長する分野として、没入型UX/UI(39%)や5GとV2X通信を採用した車外コネクティビティ(32%)を挙げた。接続に関して、帯域幅(32%)やサービスの質(28%)、カバレッジ(24%)、遅延(16%)などが課題として指摘された。
一方で、車載データセンターを構築する上で大きな障壁になると考えられるのは、「サイバーセキュリティ」(54%)、「ソフトウェアの品質」(41%)、「機能的安全性」(36%)、「車両とクラウドの接続」(29%)、「データストレージと分析」(28%)などである。
また、回答者の半分以上は、「オペレーティングシステム」や「AIモデル」「機能的安全性に関する情報」など、ソフトウェアのエコシステム全体にわたる新しいサービスが必要と答えた。
さらに、デジタル技術の導入遅延が懸念される事項として、「自動運転に対する消費者の不安」(43%)、「充電スタンドや5Gアンテナなど車外投資の不足」(37%)、「自動車メーカー経営陣の理解不足」(36%)、「データプライバシー」(34%)などを挙げた。サプライチェーン不足も、次世代自動車の実現に影響を及ぼす可能性があるという。
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