ドイツのRobert Bosch(以下、Bosch)は長期化する半導体不足に対処するために、2億5000万ユーロを追加投資して半導体製造能力を拡張する計画を発表した。Boschは以前にも、MEMSやその他のデバイスの需要の増加に合わせて、製造施設の拡張を目的とした投資を行い、現在工事を進めているが、今回の投資はそれに続くものとなる。
ドイツのRobert Bosch(以下、Bosch)は長期化する半導体不足に対処するために、2億5000万ユーロを追加投資して半導体製造能力を拡張する計画を発表した。Boschは以前にも、MEMSやその他のデバイスの需要の増加に合わせて、製造施設の拡張を目的とした投資を行い、現在工事を進めているが、今回の投資はそれに続くものとなる。
同社は2021年10月に投資計画を初めて明らかにし、2022年中に4億ユーロ以上を投じてドイツのドレスデンとロイトリンゲン、マレーシアのペナンで半導体製造工場を拡充すると発表した。このうち、現在6インチと8インチのウエハーで生産しているロイトリンゲンの施設に5000万ユーロを充てるという。ドレスデン工場では現在、12インチウエハーで生産している。
Boschは、「新たな資金は、ロイトリンゲン工場に3600m2のクリーンルームスペースを追加するために使用する。2023年までにクリーンルームの拡張に総額1億5000万ユーロを投資する計画だ。クリーンルームの拡張によって、SiC(炭化ケイ素)半導体の生産の改善が可能になるという。
同社は声明で、「ロイトリンゲンのクリーンルームスペースは、現在約3万5000m2だが、2025年末までに4万4000m2以上に拡張する計画だ」と述べている。
拡張計画には、新しい技術だけでなく、現在の生産をサポートする既存の電力供給設備も盛り込まれている。これにはASICやMEMSデバイス、パワー半導体が含まれる。Boschは、「ロイトリンゲン工場の拡張によって、車載アプリケーションおよび民生機器向けのMEMSデバイスに対する需要の高まりに対応できるようになる」と述べている。2025年から生産を拡大する予定としている。
Boschの取締役会会長を務めるStefan Hartung氏は、「当社は、ロイトリンゲンの半導体製造能力を計画的に拡張している。今回の新たな投資によって、競争力を強化するだけでなく、顧客企業に利益をもたらし、半導体サプライチェーンの危機に立ち向かうことが可能になる」と述べている。
それでも、供給の逼迫はすぐには緩和されそうになく、半導体不足がいつ終わるのかについて業界の見解は一致していない。例えば、Samsung Electronicsは2022年も供給の問題が続くと予想しているが、Appleは半導体不足は2022年3月末までに軽減すると予測している。
Boschは、「半導体不足については、2022年中は世界経済に影響を及ぼし、経済成長率を2021年の5.5%から、4〜4.5%に低下させるだろう」と予測する。同社は、「継続的な供給の逼迫と、原材料や一次製品、輸送の価格上昇は世界経済に大きな影響を及ぼし、多くの業界、特に自動車業界に影響を与えるだろう。多くの分野/地域におけるインフレ率の著しい上昇も、先行きを不透明にしている」と述べた。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.