永守氏が日本電産CEOに復帰、業績「満足できるものではない」:売り上げ、利益過去最高も(2/2 ページ)
トラクションモーターシステムは現在、第1世代を量産中だが、この第1世代は利益よりも、市場へのスピーディーな参入とシェア拡大を優先したものだった。同社は、「さらなる性能アップと原価低減のあくなき追求」をテーマとした第2世代を2023年4月に量産投入することで2023年度の単年黒字化を予定していたが、今回、この量産投入を2022年下期に前倒しすることで早期黒字化を目指す方針を示した。
E-Axle事業収益化の道筋[クリックで拡大] 出所:日本電産
関氏は「第2世代はしっかり原価低減をし収益が出るモデルに仕上がっている。現在顧客と調整中で、搭載できるクルマは全部搭載してもらう」と説明。さらに、足元では重希土類ディスプロシウムなど、材料価格が上昇しているというが、「中国の自動車メーカー各社はEVの台数を競っており、値上げを許してでも量を持ってこいという雰囲気になっている。現在、顧客と市況の全額価格反映およびベースプライスアップの調整を行っている」と語った。
同社はこの第2世代の量産投入によって、同社がEV時代への「分水嶺」と捉える2025年以降の高成長期における収益化見通しを固め、さらに市況に強い要素技術を用いた第3世代によって高収益化を実現していく方針だ。
なお、同社のE-Axleは2021年、中国市場E-Axleの外製メーカーによる占有率において27%でトップの位置にあるという。関氏は、「旺盛な受注があり、今後シェアをさらに伸ばしていく」と説明していた。また、ステランティス(旧PSA)との合弁会社「NPe(Nidec PSA emotors)」でのE-Axle生産も2022年度上期に開始するといい、欧州での拡大も見込む。関氏は、「早ければ2022年度中に累計生産台数100万台を突破する予定だ」としている。
E-Axle事業収益化の道筋[クリックで拡大] 出所:日本電産
精密小型モーターセグメントを製品別にみると、HDD用モーターの売上高が販売数量減によって前年比31.4%減収の987億8300万円となった。一方で、その他小型モーターは、IT用ファンモーター、高効率の家電用モーターなどの新製品の市場投入によって新規需要を取り込み、売上高は同8.9%増の3261億2400万円だった。同社は、「HDD用モーター市場の構造変化の中、事業ポートフォリオの転換を断行中」としている。
HDD用モーターで培ったコア技術を活用した新製品[クリックで拡大] 出所:日本電産
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